2019年9月15日(日)

日本で敗訴も痛くないアップル 裁判長期化で圧力

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2012/8/31 22:19
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スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の特許をめぐり米アップルが韓国サムスン電子の日本法人を相手取り起こしている訴訟で、東京地方裁判所が31日に出した判決では、1億円の損害賠償やサムスン製スマホの販売禁止など、原告であるアップルの請求を退けた。

ところがこの判決は、アップルにとっては痛くもかゆくもないものだ。西村あさひ法律事務所の山口勝之弁護士は「アップルが徹底的に争う姿勢を示し続けることが(米グーグルのOSである)Android(アンドロイド)陣営へのプレッシャーになる。仮に最高裁まで争いアップルが敗訴しても、それまで長期間圧力をかけ続け、Android陣営を弱体化できれば十分と考えているのでは」と分析する。

■現行機種も訴訟の対象 米国よりも影響大きい日本

韓国サムスン電子製のスマートフォン「GALAXY S II LTE」

韓国サムスン電子製のスマートフォン「GALAXY S II LTE」

山口弁護士がまず指摘するのは、米国と日本の訴訟では対象となっている機種が異なることだ。米国の訴訟では既に販売が終了した従来モデルが中心で、サムスンが負けても「目先のビジネスには影響がない」(山口弁護士)ものだった。ところが日本の訴訟では「GALAXY S II LTE」や「GALAXY Note」、「GALAXY S II WiMAX」といった現行機種も対象に含まれている。このため「もしアップルが勝っていれば、販売差し止めの仮執行でサムスン製品の販売に影響が出る可能性もあった」(山口弁護士)とし、サムスンにとっての逼迫度が米国より大きいとする。

そのうえで山口弁護士は「アップルは法律上の特許権侵害を解決したいのでなく、Android潰しが目的のはず。ならば今回の一審判決後もひるむことなく、リーガルコストを惜しまず徹底的に攻めてくるだろう」と指摘する。Android陣営で最大シェアを誇るサムスンを攻めることが、Android陣営全体の弱体化につながるという読みだ。

■訴訟費用は「ネガティブキャンペーンの経費」

今回の訴訟合戦は、スマホの世界大手2社となったアップルとサムスンがメンツをかけて各国で繰り広げているもの。日本での訴訟も複数の争点でそれぞれ審理されており、いずれも最高裁まで争われるとの見方が大半だ。そうした観点で見れば「アップルが負けたといっても、3回ある判定の1回目で不利な判断が出ただけ」(山口弁護士)。高裁判決で覆り、仮執行が付く可能性も考えられる。サムスンにとって緊迫した状況が続くことに変わりはない。

また、訴訟が長引けば長引くほどアップルに有利になるとする。「サムスンが敗訴して販売禁止になる可能性が今後も長期間残るなら、通信事業者がAndroid搭載スマホの取り扱いを減らしたり、ユーザーがAndroid搭載スマホの購入を手控えたりといった影響が出てくることは十分考えられる」(山口弁護士)

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米国での訴訟結果

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