一歩誤れば監視社会、センサーのデータどう扱う ビッグデータ活用の勘所(1)

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2012/8/6 7:00
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行動ターゲティング広告には一般にWebブラウザーが備えるクッキーという仕組みが使われる。クッキーはサーバーのドメイン(例:aaa.co.jp)ごとにWebブラウザーに渡されるテキスト・データである。一度ログインすると、次回アクセスした際に、そのログイン状態が維持されるサイトがあるが、ここで使われるのがクッキーである。

図A Webページに埋め込んだ画像でWeb閲覧履歴を取得  さまざまなサイトに行動ターゲティング事業者のサーバーからダウンロードする画像を埋め込んでおくことで、クッキーを使ってWeb閲覧履歴を取得できる。

図A Webページに埋め込んだ画像でWeb閲覧履歴を取得  さまざまなサイトに行動ターゲティング事業者のサーバーからダウンロードする画像を埋め込んでおくことで、クッキーを使ってWeb閲覧履歴を取得できる。

具体的には、ユーザーがログインに成功した際に、WebサーバーからWebブラウザーに対してユニークなデータを含んだクッキーを送信する。Webブラウザーはこれをハードディスク装置などに記録しておく。このユーザーが再度同じWebサーバーにアクセスした場合、Webブラウザーは前回受け取ったクッキーに設定されたユニークなデータを送る。Webサーバー側では、このユニークなデータを基にリクエストしてきたユーザーを判定し、そのユーザー専用のWebページを返すわけだ。

行動ターゲティング広告は、この仕組みを使う。さまざまなWebサイトの広告枠を購入し、そのページに広告業者のサイトから送信される画像を埋め込んでおく(図A)。Web閲覧者が次々に別のサイトに移動しても、同じ広告業者のサーバーから画像が送られる。Webブラウザーが初めて広告業者のサーバーにアクセスしてきた際に、ユニークなデータをクッキーとして渡しておけば、以後、別のページで画像が読み込まれるたびにユニークなデータが広告業者のサーバーに送られる。これを使えば、そのWebブラウザーがどのようなWebページを閲覧したかを追跡できる。広告業者のサーバーでは、ページとその内容を関連付けたデータベースを持っている。ページの閲覧履歴からユーザーがどのような興味を持っているかを解析できるので、その傾向に最も合致した広告を送り出せるわけだ。

クッキー・データと個人情報は、一般には直接結び付いていないため、クッキーにヒモ付いた履歴情報はプライバシーを侵害するデータではないとされている。その一方で、細かく解析すればユーザーを特定できる可能性があることから、米国の広告業界ではクッキーの登録を拒否(オプトアウト)できるようにするルールが作られている。

クッキーを使ってWeb閲覧履歴を調べる仕組みは、ある匿名IDに結び付いた購買履歴や位置情報、テレビ視聴のログを追跡するのと、基本的には違いがない。そのため、行動ターゲティング広告がどのように規制されるかは、さまざまなセンサ・データ活用の規制と深く関連している。常に注目しておく必要がありそうだ。

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(次回は8月13日に掲載)

(日経エレクトロニクス 中道理・河合基伸)

[日経エレクトロニクス2012年5月28日号の記事を基に再構成]

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