一歩誤れば監視社会、センサーのデータどう扱う  ビッグデータ活用の勘所(1)

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2012/8/6 7:00
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 世の中に大量に散らばった各種のセンサが出力するデータ(センサ・データ)を集めることで、人や物の動きをインターネットの中で"再構成"する動きが進んでいる。いわゆるビッグデータの登場である。これを解析することで、新たなサービス産業が生まれると予測されている。しかし、ビッグデータの中核を成すセンサ・データの扱い方を少しでも誤ると、すぐに深刻なプライバシー問題を引き起こす危険性がある。センサ・データをオープンに使えるようにしながら、利用者のプライバシーをしっかりと守る仕組みの構築が始まった。

現実世界をインターネット上に転写せよ――。今、現実世界で起こっていることを各種のセンサによってデータ化し、インターネットのサーバーに収集する動きが加速している。その立役者はスマートフォン。利用者とともに移動し、GPS(全地球測位システム)やマイクロホン、カメラ、NFC(Near Field Communication)など多様なセンサを内蔵するという特徴があるためだ。センサが収集する利用者の行動に関するデータなどを、通信機能を使ってサーバーに自動送信する。

スマートフォンだけではない。今後は家電機器のスマート化の流れに乗って、テレビやカーナビなどの情報機器だけでなく、体温計や血圧計などの健康器具、冷蔵庫や洗濯機、エアコンといった身の回りにあるさまざまな製品がネットワークにつながる(図1)。こうした機器が吐き出す「生活の記録(ログ)」をサーバーに集めることができれば、屋内外を問わず、人の動きをより鮮明にインターネット・サービス側で判断できるようになる。

図1 現実世界の転写が進む  家電や健康器具など多様な機器がインターネットに接続されることで、インターネット上にユーザーの生活ログが蓄積され、インターネットからの新しいサービスが提供可能になる。

図1 現実世界の転写が進む  家電や健康器具など多様な機器がインターネットに接続されることで、インターネット上にユーザーの生活ログが蓄積され、インターネットからの新しいサービスが提供可能になる。

こうした大量のセンサ・データの流入・蓄積は、インターネット・サービスの競争環境を一気に変える可能性を秘めている。

現在、インターネット・サービスはWebページの検索やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)といった文字ベースのものが主流だ。文字以外のセンサ・データを活用するビジネスは、まだ手探り状態だが、データの量の豊富さや多様さは文字データと比較にならない。このため、大きなビジネスチャンスを秘めている。

■家電メーカーにチャンス到来

実はセンサ・データを活用したビジネスの開発競争で、有利な立場にあるのが家電メーカーだ。センサ・データを自社のサーバーに集める仕組みをあらかじめ機器に組み込んで出荷し、ユーザーに提供できるからだ。自社で機器を提供していない企業がセンサ・データを集めようとすると、自社サーバーにセンサ・データを送る仕組みを機器メーカーやユーザーにわざわざ入れてもらわなくてはならず、データ集めに苦労する。

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