2019年9月18日(水)

タイ洪水で首都バンコクも浸水、治水は機能しているか

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2011/10/31付
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大規模な洪水被害が続くタイでは、10月28日にタイ湾の大潮を迎え浸水域がさらに広がっている。首都バンコクでも道路など一部が冠水し、北部のドンムアン空港はほぼ全域が浸水した。日本の河川と違い、数カ月にわたってじわじわと広がっている洪水被害は、どんなメカニズムで起こっているのか。ダムや堤防による治水計画は機能しているのか。専門家の意見や文献を参照しながら分析する。

タイの衛星画像(青色が浸水域を示す)。浸水域の真ん中を南北に流れているのがチャオプラヤ川だ(資料:タイ国技術開発局)

タイの衛星画像(青色が浸水域を示す)。浸水域の真ん中を南北に流れているのがチャオプラヤ川だ(資料:タイ国技術開発局)

タイを南北に流れるチャオプラヤ川は、アユタヤやバンコクを経由しながらタイ湾に注いでいる。流域面積が約16万km2の巨大河川だ。日本の河川との大きな違いは勾配にあり、それが今回の洪水被害を長期化させている原因の一つだ。

タイの洪水被害を調査している国土交通省水管理・国土保全局の井上智夫水利技術調整官は「チャオプラヤ川の河口から約200kmまでの下流部では、河川勾配が6万分の1から5万分の1。日本の河川の河口部で5000分の1から1万分の1の勾配なので、勾配はまるで違う。非常にゆっくり流れる特徴がある」と説明する。日本の河川では2日~3日で上流から雨水などが海に達するが、チャオプラヤ川では9日~10日掛かると言われている。

バンコク都内のドンムアン空港周辺で10月22日に撮影(写真:小森大輔・東京大学特任助教)

バンコク都内のドンムアン空港周辺で10月22日に撮影(写真:小森大輔・東京大学特任助教)

タイでは今年5月ごろから数カ月にわたって記録的な降雨があった。気象庁の発表によれば、6月~9月までの4カ月降水量は、タイ北部のチェンマイで921mm(平年比134%)、バンコクで1251mm(平年比140%)など、インドシナ半島のほとんどの地点で平年比120%から180%を記録した。タイ政府が「50年に1度」と呼ぶ降水量だ。

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