内藤前総務副大臣が振り返るこの1年 "競売導入"で変わる電波政策(5)

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2010/10/1付
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 政権交代から1年間にわたって総務省で情報通信分野を担当してきた内藤正光・前総務副大臣。今回の周波数再編計画の立役者だ。そんな内藤副大臣(以下、当時の肩書きで表記)は、菅改造内閣によって退任が決まる直前の2010年9月17日、1時間半に及ぶ日経コミュニケーション誌のインタビューに応えた。インタビューで内藤副大臣は、同じくこの1年間、情報通信政策を推進した原口一博総務大臣(以下、同)や官僚との関係など、これまであまり知られることのなかった内幕を雄弁に語った。今回の周波数再編計画を中心に、この1年間の情報通信政策の"表と裏"に迫った。(聞き手は堀越功=日経コミュニケーション)

――この1年間に担当した情報通信政策の中で、特に思い入れが強かったのはどの分野か。

内藤正光・前総務副大臣(写真:新関雅士)

内藤正光・前総務副大臣(写真:新関雅士)

あえて3つ挙げるとすれば、(1)自治体クラウドという形で方向を付けられた「地方自治体の電子化」、(2)実現に向けた流れを作った「SIMロック解除」、そして(3)「周波数再編」だ。

特に周波数再編は思い入れが強い。2020年までに1.5GHz幅の周波数帯を新たに用意する、700M/900MHz帯を再編する、それを促すためにオークション導入を検討する、といったストレート球がバシッと決まったと考えている。

――周波数再編は、原口総務大臣の「高速道路の中に自転車道」という問題意識がきっかけだった(本連載の第1回を参照)。政治主導の力を発揮できたのではないか。

実は原口大臣が問題意識を持ったのは、一部の事業者から700MHz帯のITS(高度道路交通システム)について問題点を指摘されたことがきっかけだった。それを受けて私たちは、どうせなら、もっと大局的な観点に立った電波政策の改革をやろうと考えた。

実際のところ、原口大臣自身はここまで大きな改革は期待していなかったと思う。いわば原口大臣はちゃぶ台をひっくり返した形だ。私はちゃぶ台をひっくり返す性格ではなく元に戻す性格だが、ただ戻すのではなく、せっかくだからいろいろやってみようとした。総務省の専門スタッフの力も借りながら、あれだけ大胆な再編計画を打ち出すことができた。これは原口大臣だけでも私だけでもできなかった。お互いの持ち味を出せたのではないかと思う。

なお、私はITSを"自転車道"だとは思っていない。700MHz帯という回り込みが効く電波を使うことで、日本発の新たな機能を生み出せる。700MHz帯を使うことに意味があると考えている。

――これまでも総務省は官僚主導で電波政策の新たなビジョンを出してきた。しかし大きな方向転換に踏み込めなかった感がある。

官僚を批判をするのは酷な面がある。方向性を大きく変えるには、やはり政治的なリーダーシップが必要になる。既存のプレーヤーは大きな変化を嫌うからだ。逆に、これまで政治的リーダーシップが十分果たされてこなかったことに反省を求めるべきではないか。

新政権になって政治主導ということで突き進んできたが、官僚のみなさんやチームのメンバーには「私が責任を持ってオーソライズするので、新政権になって電波政策も変わったんだなと思われる大胆な政策を打ち出してもらいたい」と常に言ってきた。そうすると、官僚のみなさんは次々と新しいアイデアを出してくれた。その結集として今回の報告があると思う。

種明かしをすると、私が担当してきたすべてのワーキンググループ(WG)の最後の詰めは、この副大臣室の中で、官僚のみなさんやチームのメンバーと思いの丈をぶつけ合うことで決めてきた。官僚のみなさんはオープンな場では発言をためらうが、このような場ではいろいろ率直な意見を言ってくれる。

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