「48時間以内にゲームを1本作る」イベントの狙い
ゲームジャーナリスト 新 清士

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2010/12/1付
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「FlyingFish」は、二次元のシンプルなゲームだ。操作も簡単で、強制的に右スクロールしていくステージ内で、マウスをクリックするとトビウオが上昇し、離すと落ちる。他の魚や船などの障害物に衝突しないようにステージを進むにつれて、スクロールの速度がどんどん上がっていく。

このチームは、計画した32時間で確実に完成させることを最優先し、時間目標は達成できたという。しかし、同じようなコンセプトのゲームはたくさんあり、新規性やゲームの面白さという意味で、修正した方がよいと思われる点もいくつか感じられた。

開発チームの一人、大学院生のチャン・ネケスさんは、「最初の仕様を決めるまでにかなり時間がかかり、実装の余裕がなくなった」という。また、計画では、1日何時間を使うという形で予定を立てたが、「実際はまとまった時間が取りにくく細切れになってしまい、それも作業を進めるうえで障害になった」と述べていた。

「あえて失敗してほしいと思っていた」

東京工科大学メディア学部専任講師の三上浩司氏

東京工科大学メディア学部専任講師の三上浩司氏

発表を見て印象に残ったのは、どのチームも数々の「失敗」を経験し、反省点を抱えたという点だ。プロジェクトをまとめている東京工科大学メディア学部専任講師の三上浩司氏は、「今回は意図的にあまり助言をせず、あえて失敗してほしいと思っていた」と語る。

東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏は「失敗学のすすめ」(講談社)で、「教育現場で真に求められているのは、正しい知識の伝達もさることながら、失敗を怖れずに伝えるべき知識を体感・実感させることであり、本当の意味で身について使える知識は、そうした体感・実感なしにはマスターできない」と書いている。

ラピッドプロトタイピングを使えば、この畑村氏の考えに近い状態をゲーム開発のトレーニングに意図的に導入できる。実践と小さな失敗の積み重ねが成長の糧になるだろう。学生にとっては大変な授業だが、GGJが終了するころには手応えを感じられるのではないか。

新清士(しん・きよし)
1970年生まれ。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心としたジャーナリストに。国際ゲーム開発者協会日本(igda日本)代表、立命館大学映像学部非常勤講師、日本デジタルゲーム学会(digrajapan)理事なども務める。
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