御来光に期待、登山者続々 富士山1日に山開き
世界文化遺産になった富士山が1日、登録後初めての山開き。前日の6月30日には、山頂での御来光を拝もうと多くの人が登山口を出発した。本格的登山シーズンを迎え、山小屋は宿泊者受け入れの態勢を整えている。
5合目にある山梨県側の吉田口では、濃い霧が立ち込めて30メートル先も見えないような天候の中、登山者が午前中から列を成して登り始めた。大きめの石や山小屋前に設置されたベンチで休息を取りながらゆっくりと登る姿が目立った。夕方には時折晴れ間が広がり、多くの人がカメラを構えた。
8合目の山小屋「太子館」(標高約3100メートル)はこの日、4割ほどの客の入り。すでに山開きの準備は終えており、計13人の従業員が夕食のカレーライスを配膳するなど、淡々と作業をこなした。世界遺産登録後は、例年より予約が埋まるペースが早まっており、すでに8月はほぼ満杯。ピーク時は従業員を30人に増やして登山者の応対に当たるという。従業員の井上義景さん(33)は「国内外問わず、多くの登山客に良い思い出を持ち帰ってもらいたい」と話した。
登山者も続々と8合目付近の山小屋に到着した。「いつもの倍ぐらいの人数で驚いた」と話すのは、富士登山6回目という相模原市の警備員の男性(70)。「富士山から見る御来光はほかの山から見るのとは全然違う」と、翌朝の好天を祈った。東京・新宿駅出発のバスツアーで訪れた東京都練馬区の栄養士中島綾香さん(25)は「ごみが出ないように、あめ玉はすべて袋から出して持ってきました。世界遺産になってから初めて見る御来光を楽しみにしています」と笑顔を見せた。〔共同〕