新会社LINE発足 会社分割に隠された深謀遠慮
「すべてを壊して、イチからやる」

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2013/3/31 7:00
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日本のLINE単独で資金調達をしながらグローバル展開をする道は模索しないのか。あえて、そう突っ込むと、森川は「今はサービスそのものとグローバル展開に集中すべきだ。会社分割などいろいろあるなかで、資金面には集中したくない」と一蹴。上場して資金調達する道については、「今、うまくいっている体制を大きくいじらないほうがいい」と語る。

「それでも100%子会社なので、株主総会で解任されたり、突然、LINE事業が召し上げとなったりするリスクがあるのではないか」と記者が食い下がると、舛田はこう反論した。

「逆にいうと、100%我々は守られているんですよね。自由にやっていいといわれて、ゼロからLINEを生み出し、そして世界展開への挑戦までできた。大株主や株式市場からのプレッシャーがない『100%バリア』があるからこそ、できたともいえる」

■「グローバル企業はどうあるべきか、いつも考えている」

韓国ネット大手の単なる日本法人から脱し、自らがグローバル企業として日本を飛びだそうとしているLINE。LINEは日本のモノか韓国のモノか、という見方はもはや愚問か。

森川は「そこはどうでもいいというか。気にしない(笑)。すべての国でその国のサービスだと思われるのがベスト。ブランドってそういうものなんだと思いますけれどね」とし、「必要であればシンガポールに本社移転してもいいのか」と聞くと、「そうですね」と答える。ただ、LINEのあり方について、完全に答えが出ているわけでもない。舛田は語る。

「我々はまさに今、グローバルカンパニーになろうとしている。その過渡期では、いろんな考え方が出てくるはず。グローバルカンパニーはどうあるべきなのか、どういうマインドをもっているべきなのか。いつも考えているし、考えは都度、変わっていく。変化を日々、味わっている」

考えながら走る――。舛田がよく使う言葉だ。立ち止まることは許されない。どこへ向かうのか誰も分からないが、考えることも、走ることもやめない。しがみつかなければ、振り落とされる。不安に思う社員がいれば、置いていかれるだけだ。森川はその厳しさをこう表現する。

■「すべてを壊して、イチからやる」

「今後について社内でも、あまり細かく説明していないので、不安に思う社員もいる。でも逆に、変化に対して不安に思う人は、この先、ついて来られないのかなと。それでも乗って来るような人じゃないと、グローバルの荒波を乗り越えられないだろうと。こう、厳しい判断をしていまして、最近は社員となるべく会話をしないよう、会わないようにしていますね(笑)」

「会うと、やっぱり気持ちが動いちゃうじゃないですか。非情になれない。時には空気を読まないっていうのは重要かなって思いますね。こういう大きく変化する時は、中途半端にやるのが一番よくない。今回、会社を分割するにあたって、改めて行動様式とか考え方もベンチャーに戻ろうということで、すべてを壊して、イチからやるつもりでやってます」

アジアから世界市場を掌握したウェブサービスはかつて存在しない。そのほとんどは米シリコンバレー発。LINEの挑戦はシリコンバレーへの挑戦でもある。その厳しさを、当人たちが一番よく分かっている。=敬称略

(電子報道部 井上理)

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