被災地を広くカバーする「ヘリサット」 消防庁が採用

2013/3/29付
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ヘリサットシステムを搭載した消防庁のヘリコプター。緑色の矢印の先がヘリサットアンテナを収めたドーム(写真:三菱電機)

ヘリサットシステムを搭載した消防庁のヘリコプター。緑色の矢印の先がヘリサットアンテナを収めたドーム(写真:三菱電機)

三菱電機は、「ヘリコプター直接衛星通信システム(ヘリサットシステム)」を総務省消防庁に納入した。同システムの機上設備は京都市消防局の消防庁ヘリコプターに搭載され、地上設備は京都市消防局と消防庁(千代田区霞が関)に設置される。2013年4月上旬からの運用開始を予定。

ヘリサットシステムの実用化は初めてだという。大規模災害発生時に、被災地の空撮映像をヘリコプターから衛星通信でリアルタイム伝送することで、被災地の情報を速やかに収集し、被災状況に応じた的確な応急対策を行うことを狙う。これまでは、ヘリコプターテレビ電送システム(ヘリテレ)を使っていた。

ヘリテレは地上の中継局に送信するため、電波遮へいの発生によって通信できない空白地帯が全国各地に存在していた。ヘリサットシステムの導入により、日本全国どの被災地からでも空撮映像をリアルタイムに伝送できるようになったという。三菱電機によれば、納入したヘリサットシステムの実現に当たっては、複数の技術的な工夫を施した。

従来のヘリテレ(左)と今回のヘリサット(右)の比較(資料:三菱電機)

従来のヘリテレ(左)と今回のヘリサット(右)の比較(資料:三菱電機)

まず、ヘリコプターのブレード回転に同期した間欠送信技術を採用して、空撮映像を衛星に安定送信できるようにした。また、H.264/MPEG-4 Advanced Video Codingという圧縮符号化方式を採用することで、映像のリアルタイム伝送を可能にした。なお、ヘリコプター局と地上局間では双方向に音声やデータ通信も可能である。

小型・軽量・低消費電力化を図ることで、搭載可能なヘリコプターの幅も広げた。ヘリコプター局の機内装置は約20kg、機外装置は約35kgと軽量である(カメラ関連装置は除く)。またヘリコプター局の電源電圧は直流28Vで消費電力は900W以下と、ヘリコプター搭載の標準電源で稼働可能だとする。

送信時に利用する周波数帯は14.0G~14.4GHzで、受信時のそれは12.25G~12.75GHzである。下り(地上局→ヘリコプター局)通信は時間ダイバーシティ方式、上り(ヘリコプター局→地上局)通信はヘリコプターのブレード回転に同期した間欠送信方式を採る。ドーム・サイズが550φ×600mmの0.4mφパラボラ・アンテナを使う。受信信号強度によるスキャン方式で衛星を追尾する。

なお、今回のシステムを利用して映像撮影する際のヘリコプターの運用目安は、最大飛行速度が160ノット、最大高度は1万1000フィート、バンク角は±30度、ピッチ角は±20度になっている。

(Tech-On! 小島郁太郎)

[Tech-On! 2013年3月28日掲載]

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