鉄道相互乗り入れで威力 「ソフトが主役」の無線システム

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2013/6/11 7:00
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小田急電鉄が2016年7月の全面稼働を目指して導入を進めている「列車無線システム」が注目を集めている(図1)。

列車無線システムとは、列車の乗務員が運転指令センターと通話するための無線技術で、小田急電鉄が導入しているのが、「ソフトウエア無線(SDR:Software-Defined Radio)」という新技術に基づくシステムである。このシステムはNECが開発したもので、小田急電鉄に対して2012年6月に納入を開始した(図2)。

図1 NECの列車無線システムの利用イメージ。納入先の小田急電鉄は2016年7月の全面稼働に向けて、新システムを順次受け入れ中

図1 NECの列車無線システムの利用イメージ。納入先の小田急電鉄は2016年7月の全面稼働に向けて、新システムを順次受け入れ中

図2 NECが開発した列車無線システムの構成

図2 NECが開発した列車無線システムの構成


従来の無線通信システムでは、通信方式ごとに専用の回路(ハードウエア)を用意する必要がある。1つの回路が対応する通信方式は基本的に1つだけであるためだ。これに対してソフトウエア無線では、1つの回路を多様な通信方式に対応させる。ハードウエアをいちいち変更しなくても、ソフトウエアの変更でさまざまな通信方式に対応できる。このため、設備コストや保守など多くの面でメリットがある。

ソフトウエア無線技術は、既にラジオなど民生機器の一部で実用化されているが、今後は鉄道をはじめとして産業機器でも活躍しそうだ。

■相互乗り入れでも搭載機器は1台

小田急電鉄が新方式の列車無線システムを導入した背景には、東京メトロやJR東日本(東日本旅客鉄道)などとの相互直通運転の範囲を広げていることがある。

既存の列車無線システムでは、事業者によって採用している通信方式が異なるため、相互直通運転範囲の拡大によって、各車両の限られた運転台スペースに、事業者ごとに異なる複数台の機器の搭載が必要であった。これに対してソフトウエア無線を使ったシステムなら、各車両に乗せるのは1台の機器で済む。いずれの事業者の方式にも、乗務員の操作で切り替えられるからだ。

これによって、鉄道会社は搭載する機器数の減少に伴う設備費用の低減や省スペース化というメリットを享受できる。

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