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スポーツギア最前線 キャンバスシューズ復活 スマートに履こう

「初めてはいたスニーカーはキャンバススニーカー」という人も少なくないだろう。かつては「キャンバススニーカーは春夏シーズンだけのもの」といったイメージも強かったが、現在では街なかで一年中見かけるアイテムとなっている。

永遠の定番モデルとして全世界で愛されるコンバースの「オールスター」。ジャストサイズではくのもいいが、古くからの愛好家は少し大きめのサイズを選び、写真のようにシューレースをきつめに締めてはく。これによってスリムなシルエットが生まれるのだ

特に2012年は、サーフスタイルがファッショントレンドとなったため、「VANS(バンズ)」をはじめとした"横乗りテイスト"のキャンバススケートシューズが一躍フットウエアのメインストリームになった。これは米国や日本など従来からキャンバススニーカーがポピュラーだったエリアだけでなく、ランニング系のスニーカーがストリートを独占していたロンドンでもブームとなっている。

アッパーとソールを接着剤で一体化させる一般的なスニーカーとは異なり、キャンバススニーカーは「バルカナイズ製法」という特殊な作り方で作られることが多い。バルカナイズ製法は「加硫圧着」とも呼ばれ、硫黄を混ぜたゴムのテープをアッパーとソールに巻きつけ、加硫釜の内部で加熱して一体化させる製靴方法。この製法で作られるシューズは、機能性を追求した最新スニーカーとはひと味違うクラシックな趣で根強い人気がある。

最も有名なキャンバススニーカーといえば、なんといってもCONVERSE(コンバース)の「ALL STAR(オールスター)」だろう。"チャックテイラー"の愛称で呼ばれていたこのキャンバススニーカーは、1917年にバスケットボールシューズとして開発された。それ以来、1960年代まではコート上で、1970年代以降はストリートでベストセラーを維持してきた。基本スペックが誕生から100年近く経過した現在まで大きく変更されていないのは、当時の基本設計がしっかりしていたということだろう。

ちなみにオールスターのハイカットは、足首の内側に星のデザインがプリントされている。「ロゴを見せるなら、どうして外側にプリントしないのか」と思った人も多いかもしれない。実は初期スペックでは左右の足がすれてアッパーが損傷するのを防止するため、この部分に生地が二重に当てられていた。その名残りなのだ。

またコンバースではローカットのことを「オックスフォード」と呼ぶが、これはブーツが一般的で短靴が珍しかった時代に、オックスフォード大学の学生がローカットシューズを好んではいたことから、そう呼ぶようになったという。

いずれにしろ、コンバースのオールスターは今後も"最も有名なキャンバススニーカー"の地位を譲ることはないだろう。

サーフスタイルブームで「VANS」人気再燃

ここ最近のサーフスタイルのブレイクによって、横乗りスポーツのキャンバススケートシューズが世界中で人気となっているのは前述の通り。その代表的存在となっているのがバンズだ。米国や日本を中心に世界中で"大人のサーフィン"がブームになり、「Ron Herman(ロン ハーマン)」「SATURDAYS SURF NYC(サタデーズ サーフ ニューヨーク)」といったサーフィンをコンセプトとしたショップが隆盛を極めるなど、ファッションでもサーフテイストが大きな影響を持つ存在に。

ベーシックなバルモラルデザインが印象的なバンズ「オーセンティック」。美しいフォルムはあらゆるボトムと相性が良く、カジュアルな着こなしからちょっぴりドレッシーな装いまで幅広いコーディネートにマッチするはず

それによって、バンズの「AUTHENTIC(オーセンティック)」「ERA(エラ)」といったバルモラル(靴の履き口がV字型に開く内羽根式)デザインのキャンバススニーカーが大人気となっているのだ。

ネイビーやホワイトといった従来からあるカラーリングはもちろんのこと、米国の映画やドラマで白人青年が新品のキャンバスシューズをわざと汚してはき古したように見せるシーンがあるように、オーセンティックやエラの中古加工を施したタイプも人気だ。

オーセンティックやエラはき込んだデニムやコーデュロイパンツ、ショーツと合わせるとラフな印象が出せる一方、細く美しいシルエットでキレイめボトムとの相性も良いため、最も汎用性の高いキャンバススニーカーの1つとなっている。

復活する老舗ブランド、独自コンセプトで人気のニューカマー

スぺリー トップサイダー「CVO」(7140円、4月発売予定)。スペリー トップサイダーを代表するロングセラー。シンプルなデザインはコーディネートを選ばない
スぺリー トップサイダー「シーメイト」(7140円、4月発売予定)。レザーモカシンのデッキシューズをキャンバスアッパーで表現したクラシックモデル

かつてコンバースのライバルといえば「Keds(ケッズ)」「PRO-Keds(プロケッズ)」だったが、現在ではブランドの認知度や売り上げ規模ではコンバースに遠く及ばない。

老舗ブランドではヨットの甲板で高いグリップ性を発揮する「スペリーソール」を装備したデッキシューズで有名な「SPERRY TOP-SIDER(スペリー トップサイダー)」は現在も人気をキープ。「PF-FLYERS(PFフライヤーズ)」もニューバランス傘下となってから積極的なプロダクト展開とマーケティング戦略で存在感を発揮している。"PEOPLE'S SHOES OF ITALY"のコンセプトで知られるイタリア発祥の「SUPERGA(スペルガ)」は米国ブランドにはない洗練されたデザインで欧州を中心に人気だ。

当初はベーシックなカラーのみ展開された「センター ハイ」だが、現在ではさまざまなグラフィックのアッパーデザインを展開
PFフライヤーズ「センター ハイ ナチュラル」(4725円)。1953年にバスケットボールシューズとしてデビューしたロングセラー。足首のロゴは外側に付く

キャンバスシューズのニューカマーも登場している。最注目のブランドはシューズが1足売れるたびに、発展途上国の子どもたちに1足の靴をプレゼントする"One for One"コンセプトで人気上昇中の「TOMS(トムス)」。ベーシックなエスパドリーユ(靴底が縄で作られたサンダル風はき物)タイプのスリップオンシューズがアイコンモデルとして有名だったが、最近ではレースアップタイプやブーツタイプ、キャンバス以外の天然皮革アッパーのモデルなど豊富なバリエーションをラインアップし、あらゆるシーンに対応するフットウエアブランドになっている。

イタリア発祥のシューズブランドとして欧州を中心に人気が高い「スペルガ」。高級リゾート地での着用率が非常に高いことからも分かる通り、洗練されたデザインはシックな装いにもマッチする。写真は同ブランドのロングセラー「2750」
トムス「Red Canvas Classics」(6090円)。ベーシックなスリップオンデザインが印象的なトムスのスタンダードモデル。豊富なカラーとマテリアルバリエーションがそろうのも魅力

~キャンバスシューズのはきこなしポイント~

・手ごろなイメージのあるキャンバススニーカーだけに、清潔感は重要。昨今のキャンバススニーカーの中古加工とただ汚いのとは違うことを理解し、汚れが目立つようになったら洗濯すること。

・コンバースの「オールスター」をはじめとしたバスケットボールシューズを起源とするタイプは、若干大きめのサイズを選ぶのがコツ。ひもでできつめに絞ると見た目がスマートになり、レトロな雰囲気も出せる。

(ライター 南井正弘)

[日経トレンディネット2013年1月10日掲載]

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