ソーシャル活用で失敗しない組織と個人の関係とは
ブロガー 藤代 裕之

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2012/3/1 7:00
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ソーシャルメディアを幅広く議論するイベント「ソーシャルメディアウィーク東京」(2月13日から17日まで開催)で、雑誌「広告批評」の元編集長の河尻亨一氏がソーシャルメディアと既存のマスメディアとの関係について分析した興味深いプレゼンテーションがあった。ソーシャルメディアの活用でトラブルや失敗事例は少なくないが、その理由はソーシャルメディアと既存のマスメディアの間にある深くてうっそうとした「ジャングル」に起因しているというのだ。河尻氏が語るジャングルを企業がうまく抜けるには、組織の中にいる「メディア化」した個人のパワーを生かせるかが問われる。

■垂直的と水平的で異なるルールや作法

ソーシャルメディアウィークは、2009年からニューヨークなどの世界各都市で年2回、同時開催されている。YouTubeやUstream、ミクシィといった企業からの講演のほか、筆者と河尻氏の対談などもあった。河尻氏は編集者だけでなく、「銀河ライター」というクリエーティブ集団を主宰するほか、東北芸工大客員教授などの顔も持つ。対談前に河尻氏から「2010年代の情報環境」に関するプレゼンがあり、そのときにジャングルの話が出た。

河尻氏がプレゼンに利用したスライドがである。新聞やテレビといった従来型のマスメディアを「垂直的情報環境」、交流サイト(SNS)やレビューサイト、掲示板、動画サイトを「水平的情報環境」と位置づけ、その中間にジャングルが生まれていると説明した。この2つの情報環境は同じメディアでありながら、運用のルールや作法が異なっているため、中間のジャングルでトラブルや失敗が起こっているという。水平的な環境ではビジネスモデルや倫理、ルールも未整備で、価値観や世代的なギャップも存在していると指摘した。

河尻氏も筆者も、垂直的なメディアに関わった経験があり、ブログツイッターといった水平的なソーシャルメディアも取材してきただけに、納得できる説明だった。垂直的な環境に安住し、水平的な話をすると目を閉じたり、耳を塞いだり、場合によっては怒りだしたりする人たちは数年前に確かにいた。だが、そういった人たちも、いまでは水平的な環境に取り組もうとしつつある。

ソーシャルメディアウィークの会場が、電通ホールと講談社で、運営は電通系のインターネット広告会社、サイバー・コミュニケーションズ(cci)という既存マスメディアであることが、ソーシャルメディアを取り巻く状況が大きく変わったことを意味している。問題なのは、水平的と垂直的が同じルールや作法だと思ったままで対応しようとすることだろう。この誤解はどこから生じるのだろうか。

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