2019年2月21日(木)

米Rice大学、どこにでも塗って作れるリチウムイオン電池

2012/6/29付
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9枚のタイル上に作製したLiイオン2次電池。中央の一枚には太陽電池を実装し、その出力で電池を充電して右上のLEDを点灯させている。写真:Jeff Fitlow/Rice University

9枚のタイル上に作製したLiイオン2次電池。中央の一枚には太陽電池を実装し、その出力で電池を充電して右上のLEDを点灯させている。写真:Jeff Fitlow/Rice University

作製した薄膜Liイオン2次電池の断面の様子。上が負極側、下が正極側。写真:Ajayan Lab/Rice University

作製した薄膜Liイオン2次電池の断面の様子。上が負極側、下が正極側。写真:Ajayan Lab/Rice University

米Rice Universityの研究者は2012年6月28日、大面積のリチウム(Li)イオン2次電池をスプレーを用いた塗布プロセスで製造する技術を開発したと発表した。基材を選ばないため、「ほとんどあらゆるモノの表面を電池にできる」(同大学)という。詳細は、28日付の学術誌「Nature」のWebニュース「Scientific Reports」に論文が掲載された。

このLiイオン2次電池は5層の薄膜から成るが、これらをすべてスプレーで形成する。第1層は正極の集電体(CC)層で、カーボン・ブラックを極性溶媒として知られるN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)と混ぜたものに単層カーボン・ナノチューブ(SWNT)を加えた材料から成る。第2層は正極材料の層で、コバルト酸リチウムとグラファイト粉末の混合材料、第3層はセパレータ層でポリフッ化ビニリデン(PVDF)系樹脂とアクリル樹脂(PMMA)、二酸化ケイ素(SiO2)粉末粉末の混合材料から成る。第4層は負極材料の層で、チタン酸リチウム(LTO)とグラファイト粉末の混合材料、第5層は負極のCC層で、銅(Cu)粉末をエタノールに分散させた「塗料」から成る。CC層以外の各層の厚さは100μm~150μmである。

ビア・ジョッキ上に作製した例

ビア・ジョッキ上に作製した例

開発で苦労したのは、セパレータ層だという。当初は耐久性が低く、正極にあるSWNTと接触するとそこから壊れてしまっていた。PMMAをセパレータ層に加えることで、耐久性が大きく増したという。

基材として試したのは、バスルームに使うタイル、樹脂フィルム、ガラス、ステンレス鋼板、陶器のビア・ジョッキなど。特にタイルの一つには、太陽電池を装着してその出力をタイル9枚分の電池に蓄電させた。結果、「RICE」の文字をかたどったLEDの列を6時間点灯させることができたという。

このLiイオン2次電池を開発した研究者の一人で、論文の第一著者であるNeelam Singh氏は「塗布プロセスで作製する太陽電池と、この塗るLiイオン2次電池は、エネルギー・ハーベスティングにとって最強の組み合わせになる」とする。

(日経エレクトロニクス 野澤哲生)

[Tech-On! 2012年6月28日掲載]

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