「電子書籍」普及へ著作権法改正案を初公表、作家・出版社・国会議員ら

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2012/4/28 7:00
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さらに(1)書籍の重版や電子書籍の発行などは作家の許諾を必要とする、(2)作家が出版社から権利を引き揚げ、別の出版社から同じ書籍を再発売することを可能とする、(3)争いが解決できない場合に備えて、裁判外紛争解決手続(ADR)の仕組みを用意する――といった規定を盛り込む。

勉強会では、法改正に併せてガイドラインを設け、漫画家が出版社に預けた原画について、一定期間内に漫画家に返却するなどの規定を設けることも検討している。「本来出版社は返さなければいけないのに、運用されていない。権利付与に併せてガイドラインを作れば、出版社がそれを徹底する義務ができる」(勉強会メンバーで出版デジタル機構の植村八潮氏)

これらの規定により、出版社が権利を持ちながら再版や電子書籍化を行わず、作家に権利を戻さないといった"塩漬け"問題を解決するとしている。

出版社の権利は出版物だけを対象とし、作品の登場人物などは含まない。第三者が人気作品の登場人物を使った2次創作を行い同人誌として発行するなどの場合に、出版社が作家の意思に反して発行を差し止めるといった行為を防げるとする。

2月に発足した勉強会のメンバーには議員や作家、出版社の経営トップが名を連ねている。これまでに漫画家の里中満智子氏など、権利付与に慎重な姿勢を示す作家を含む関係者に試案を提示したといい、今後はシンポジウムなどで幅広く試案を公開し意見交換する場を設けたいとしている。

出版社への権利付与を巡っては文化庁の検討会議でも議論が進められていたが、2011年12月に終了した。委員の間では権利付与に前向きな意見も出ていたが、報告書では権利付与について両論併記するのにとどめていた。その後、権利付与した場合のメリットとデメリットについて、文化庁内部と日本書籍出版協会(書協)がそれぞれ検討を進めており、いずれも6月をめどに取りまとめを出す予定。それらに併せて改正試案の全文が公表されることで、夏に向けて法改正の是非や内容に関する議論が再び活発化しそうだ。

(電子報道部 金子寛人)

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