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ブルートゥースでスマホとも連携、新型「ポメラ」の使い勝手

フリーライター 竹内 亮介

昨年11月に発売されたキングジムの文字入力機器「ポメラ」の最新機種「DM100」の売り上げが、今年に入っても好調だ。通信機能の「Bluetooth(ブルートゥース)」を搭載し、携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)とも連携できるのが大きな特徴で、価格比較サイト「coneco.net」の「iPad・Android端末・モバイル機器」分野では20位と健闘している(1月26日時点)。

インターネットに接続できず、ディスプレーも今どき珍しいモノクロタイプ。しかしノートパソコンに近いキーピッチで打ちやすいキーボードを採用し、ソフトでは文字入力に絞って余計な機能を省き、日本語変換ソフトにはジャストシステムの「ATOK」を組み合わせるなど、「快適なテキスト入力」という一点にこだわったポメラシリーズは、軽量でシンプルな文字入力機器を求めていたユーザーの心をとらえた。

今回は、DM100の使い勝手やさらに進化した点、ブルートゥースを利用した場合の各種機器との連携機能を検証してみた。

標準的なキーボードに変更し、入力時のがたつきを解消

DM100はポメラシリーズの最上位機種で、実勢価格は2万8000円前後。2009年12月に発売された「DM20」が1万8000円前後なので、約1万円高い。

このDM20に代表される従来モデルからの変更点はかなり多い。外観上の変化として大きいのはキーボードだ。従来モデルでは、普段は折りたたむことができ、使用時には左右に開くキーボードを採用していた。しかしDM100の外観はノートパソコンに似ており、従来モデルのようにキーボードを折りたたむことはできない。

DM20などのキーボードには、折りたたむことできょう体がコンパクトになるというメリットがある。しかし実際に開いて入力していくとがたつきを感じ、長時間のタイピングではストレスを感じることもあった。DM100の入力ではそういったストレスを感じないが、幅や奥行きがDM20に比べてやや大きくなっている。

キーボード自体の使い勝手は上々だ。ストロークは浅めだが、指先にしっかりと反発を感じるので打ちやすい。17ミリと余裕のあるキーピッチはそのまま継承しており、ゆったりとタイプできた。

筆者は初代DM10で感じたがたつきを理由にポメラの普段使いをあきらめた経験があるので、この変更には好感を持った。

液晶ディスプレーにはついにバックライトが組み込まれた。ポメラシリーズの液晶は視認性の高さと見やすさに定評があったが、バックライトがないため暗い場所ではやや見にくくなる弱点があった。DM20を横に置いて並べるとバックライトの効果は歴然で、より明るく、くっきりと文字が読める。

バックライトを搭載したことで、バッテリー駆動時間が短くなるのではと心配したが、電源が単四電池2本から単三電池2本になったこともあり、むしろ駆動時間は長くなった。アルカリ乾電池での駆動時間は、DM20では20時間だが、DM100は30時間だ。

電子辞書など新機能を搭載したが使い勝手は変わらず

ソフトでは、電子辞書機能を搭載した点が大きな変更点だ。国語辞典は「明鏡国語辞典MX」、英和辞典が「ジーニアス英和辞典MX」、和英辞典は「ジーニアス和英辞典MX」である。

いずれも辞書側で文字を入力して意味を検索できるだけでなく、検索した文字や文章をコピーして作成中の文章に貼り付けたりすることが可能。辞書機能の起動は、液晶ディスプレーの右にあるボタンを押すだけと非常に簡単であり、起動速度も一瞬だ。機能は増えたが、軽快な使用感は従来のポメラシリーズそのままといってよい。

文章のほか、マイクロソフトの表計算ソフト「Excel」のような表組みデータを作成することもできる。表計算やグラフ作成は不可能だが、表形式でデータの整理をしたいときに便利。

しかもファイルの保存形式はCSV形式なので、作成したファイルをパソコンに移動してエクセルで読み込めば、そのままグラフ作成などができる。

外出先で取得したデータを入力し、帰社してからそのデータを使って提出書類を作る、という用途ならパソコンを持ち歩く必要がないわけだ。

自分のパソコンで使っていたATOKの辞書を読み込み、その辞書を使って日本語変換を行うことも可能になった。ポメラ上でも単語登録は可能だが、業務で必要な単語をすでに登録し、自分の変換スタイルを学習済みの辞書をそのまま移行できるほうが楽なのは言うまでもない。

作業も、パソコンから抜き出した辞書ファイルをUSBで接続したポメラにコピーして辞書として指定するだけ、と非常に簡単だ。

ブルートゥースでのファイル転送が魅力的

通信機能としてブルートゥースを搭載し、スマートフォンやタブレット端末、パソコンと連携できるようになった。液晶ディスプレーの左横にブルートゥースを利用するためのボタンがあり、これを押すと「キーボード」と「ファイル転送」というボタンが表示される。スマホなどと接続して外付けキーボードとして使いたいなら「キーボード」、保存したテキストファイルを転送したいなら「ファイル転送」を選ぶ。あとは、相手の機器側でブルートゥース接続の作業をすればよい。

まず「キーボード」の機能で、「iPhone4」とスペックがほぼ同じ第4世代の「iPodtouch」、および「iPad」に接続してみたが、日本語変換などは問題なく行えた。

次にグーグルの「アンドロイドOS(基本ソフト)」を搭載するスマートフォンやタブレット端末で使ってみた。対象となったのは、KDDIの「IS05」「ISW11M」、NTTドコモの「N-04C」、ソニーのアンドロイドOS搭載ウォークマン「NW-Z1060」、東芝のタブレット「REGZA Tablet AT3S0/35D」などだ。

キーボードとして接続できたものの、日本語変換時や英語入力との切り替え時にうまく操作できないことが多かった。原因は不明だが、安心して使いたいならキングジムが動作保証しているiPadなどを使うべきだろう。

ただ、DM100は軽い。iPod touchをDM100の液晶画面に立てかけた程度でも後ろに倒れてしまう。必然的に横に置いて入力していくことになるが、首をひねった状態になるため、首筋がかなり疲れてくる。この用途で使いたいなら、スタンド機能がある外付けキーボードを利用したほうがいいだろうと思った。

一方、ファイル転送機能はiPod touchやiPadでは利用できない。ファイル転送モードでブルートゥース接続しようとしても、iPod touchやiPad側が認識しないからだ。

逆にアンドロイドOS搭載のスマートフォンなどでは利用できる機種が多かった。

先ほどのKDDIのIS05やISW11M、NTTドコモのN-04C、ソニーのアンドロイドOS搭載ウォークマンNW-Z1060、東芝のタブレットREGZA Tablet AT3S0/35Dにブルートゥース経由のファイル転送アプリ「Bluetooth File Transfer」をインストールして作業してみたが、ブルートゥースによるファイル転送プロトコルに対応しないIS05以外の機器なら、問題なくDM100とファイルをやりとりできた。OSのバージョンも問わなかった。

DM100自体に通信機能はない。しかし作成したファイルをスマートフォンにブルートゥースで転送し、それをメールの添付ファイルで送信すれば、簡単な報告程度ならそれで済む。すべてがワイヤレスで完結するのも非常に便利だ。

これからも順調に進化してほしい

従来のポメラの良い部分をそのまま継承し、文字入力機器としての使いやすさに磨きをかけたDM100。新しい機能を組み込むことで、使い勝手はさらに増した。DM20に比べると実勢価格は1万円高いが、個人的には十分そのメリットはあると感じる。

特にブルートゥース対応によるスマートフォンとの連携機能は、外出先で作業したり帰社後にメモを元に書類を作ったりすることが多い筆者のようなユーザーにとって非常に大きな魅力だった。

ブルートゥースでの接続や辞書ファイルの移行の作業は簡単とはいえ、ある程度、こうした機器への慣れは必要かもしれない。ただし細かい手順をマニュアルに記述しているので悩むことはないだろう。もちろん、こうした機能を使わなくても、DM100の魅力は十分引き出せる。今後も方向性を失うことなく進化を続けてほしい。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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