2019年9月23日(月)

大阪府教育委と日本MS、自宅や病院で授業を受けられるシステム

2013/3/27付
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大阪府教育委員会と日本マイクロソフト(MS)は2013年3月27日、大阪府の全ての府立高校を対象に、遠隔授業を実現可能にするシステムを提供すると発表した。病気やけがなどにより療養する生徒が、自宅や病院などの遠隔地から学校の授業を受けられるようにする。

教室に三脚を使ってWebカメラを設置したところ

遠隔地にいる生徒は、手元のパソコンで授業の様子を見られる

日本マイクロソフトのクラウドサービス「Lync Online」を使って、自宅や病院と教室をつなぐ

大阪府教育委員会の中西正人教育長(右)と、日本マイクロソフト 業務執行役員の中川哲氏。記者発表は、大阪、品川、銀座の3カ所を同時接続して開催。今回のシステムと同じくLync Onlineを利用して接続した

大阪府教育委員会の陰山委員長は、銀座の会場から記者発表に参加した

日本マイクロソフトの教育機関向けクラウドサービス「Office 365 Education」を用いて実現する。同サービスでは、メールやオンライン会議、オンライン版Officeソフトなどの基本機能を無償で提供しており、このうちのオンライン会議ソフト「Lync Online」を、遠隔授業に活用した。

今回の取り組みの端緒は、大阪府内で病気療養をする生徒からの、教育支援を求めるメールだったという。大阪府教育委員会ではこれを受けて、入院先の病院への非常勤講師の派遣事業を新たに始めることを決めた。その後、日本マイクロソフトからICT(情報通信技術)を活用した学習支援の提案を受け、1つの高校でシステムの検証を実施。併せてマニュアルなども整備し、この取り組みを全ての府立高校に広げることにした。

検証では、授業支援以外の効果も確認できたという。病気療養中の生徒も「クラスの様子や学習の進み具合が把握できるし、休み時間や放課後などにクラスの生徒と顔を見ながらコミュニケーションができる。生徒同士の連帯感が強まり、療養中の生徒も生きる勇気が生まれて、卒業に向けて弾みがついた」(大阪府教育委員会の中西正人教育長)。

「大きな追加の投資をすることなく、学校にあるパソコンとネット接続環境を用いて実現できる」(日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長の中川哲氏)という点も評価された。システムを利用するには、パソコンとWebカメラ、マイク、スピーカーやヘッドセットなどがあればよい。教室には三脚などを使ってWebカメラを設置し、教員の様子や黒板の文字などをパソコン経由で送信。療養中の生徒は、病院や自宅などのパソコンでその様子を見られる。

大阪府教育委員会の陰山英男委員長は、「出発点は一人の高校生の願いだったが、日本や世界全体の教育そのものを変えていく道を開いた」と今回の取り組みを評する。「今回は病気やけがの治療をしている子どもたちに向けた特別な授業を想定しているが、遠隔授業はきわめて普遍性を持っており、一般化しやすい」(陰山氏)。

例えば不登校の子どもたちへの適用や、他の学校の授業を受けてみたいという要望の実現、授業を録画して繰り返し見られるようにする、といった応用が考えられる。そのためには「教育課程や学校、学級、著作権を含めた知的財産など、さまざまな環境を整えていく必要性がある」と指摘した。

(日経パソコン 八木玲子)

[PC Online 2013年3月27日掲載]

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