スマホ初心者がはまる「端末無料」の落とし穴

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2013/8/28 7:00
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ただし、利用者は分割払いの形で端末代を毎月払っていることに変わりはないし、2年間同じ端末を使い続けなければ「実質無料」にならない。2年に満たない使用では分割払いの残りを請求される。玉本くんの場合は、約10カ月分を請求された。

なぜこんなにややこしい料金体系なのか。

携帯の販売奨励金が廃止された2007年に遡る。当時、奨励金の廃止で端末価格が一時、高騰した。携帯の買い替えが進まないため、携帯電話会社が生み出した苦肉の策が、端末の分割払いと通信料割引のセットだった。これが「実質無料」の原型だ。

■「スマホ代延滞で住宅ローンが組めなくなる」

ところが、最近になって「実質無料」に思わぬリスクが浮上している。

携帯の料金問題に詳しい四谷の森法律事務所の斎藤雅弘弁護士に聞いた。「以前と違って支払いを延滞すると通話が止まるだけでなく、ローン会社の『ブラックリスト』に入れられます。クレジットカードが作れなくなったり、住宅ローンが組めなくなったりする恐れがあり、口座振替やコンビニ払いにしている人は特に要注意ですね」

ブラックリスト入りしているスマホユーザーはどれぐらいなのか。割賦販売の信用情報を扱うシー・アイ・シー(CIC)に実態を聞いたところ、CICが見せてくれた資料には驚きの数字が並んでいた。

端末代を3カ月以上延滞すると「異動」、いわゆるブラックリストに分類され、記録は5年間残る。2013年7月時点で「異動」した消費者は242万4000人。2年間で2倍以上に増えており、毎月5万人がリスト入りしている計算だ。信用情報の登録は通常、若年層(10~20代)で1割程度だが、携帯では3割に跳ね上がる。これが何を意味するか。「社会人になったのに住宅や車のローンが組めずカードも作れない。原因は学生時代の携帯代の延滞だった--。こんなケースがこれから顕在化していくと思います」とCICの風間真一・危機管理シニアアドバイザーはいう。

リスト入りするのは3カ月以上の延滞者なので、2カ月以内に払えば大丈夫そうに思えるが、「たとえ1カ月の延滞でも記録に残る。企業によっては『こんな少額でも払えないのか』と支払い能力や人柄をマイナスに見ます」(風間さん)。1回の延滞でも、場合によってはローンの審査ではねられる可能性があるというのだ。

スマホ販売店ではこうしたリスクを説明しているというが、リスト入り比率は3%台で推移し、リスト入りする消費者が右肩あがりで増えているのが現実。店頭での説明は抑止力になっていないようだ。

「実質的な負担はない」といっても、支払い延滞の代償が大きい「実質無料」。最近ではローン払いがなく、文字通り無料で端末が手に入る「端末代一括無料」という販売形態がスマホ初心者を引き付ける。「一括無料」とはどれだけ得なのか、東京・秋葉原の電気街を歩いて調べてみた。

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