ソニーの小型デジカメ最上位機 高級路線打ち出す
ソニー「サイバーショット DSC-RX100」

ソニーはコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」の最上位機種「DSC-RX100」を6月15日に発売した。新開発の大型(1.0型)CMOSセンサー(有効画素数2020万)は従来の「サイバーショット」の1/2.3型の約4倍の面積を持ち、ノイズの少ない高感度撮影を可能とした。独カールツァイスの大口径で開放F値1.8の明るいレンズと相まって、従来のコンパクトカメラでは難しかった美しいボケ味を実現した。
薄型非球面レンズの採用により、ポケットにも収まるコンパクトなボディーとなっている。また、レンズ部分にマニュアル操作を可能とするコントロールリングを設け、背面のファンクションボタンには使用頻度や好みに合わせて7つの機能を任意に登録できる機能を設けた。その他、「ピクチャーエフェクト」など一眼カメラの「α」シリーズと同等の多彩な機能を備える。
本体にはアルミニウムの高品位なメタル素材を採用した。実売価格は6万円前後、当初月産1万台。
【日経産業地域研究所研究員の視点】

コンパクトデジタルカメラ市場は、スマートフォンなどにカメラ機能を代替され、ここ2年ほどは販売台数が前年比10%前後の減少月が続いていた。平均単価も下落の一途をたどり、1万円以下の機種もざらに見られるようになった。
そこで、カメラメーカー各社はスマホと差別化できるコンパクトデジカメの開発に力を入れてきた。キヤノンの「G」シリーズやリコー(現ペンタックスリコーイメージング)ブランドの「GRデジタル」シリーズなどが先べんをつけ、富士フイルムも「X」シリーズを確立した。その成果がここにきて表れ始め、家電販売調査のBCN(東京・千代田)によると今年に入って販売台数が前年を上回る月が出始め、平均単価も持ち直し気配にある。
ソニーは7年前に一度、10万円以上するコンパクトデジカメを発売したが、当時はまだユーザーの高級コンパクトデジカメに対する需要は少なかったようだ。しかし、今や旅行にも小型で高画質のカメラが求められるようになった。
BCNの8月調査をみると、ソニーはコンパクトデジカメ市場でキヤノンに並び首位、しかしニコンやパナソニック、カシオ計算機、富士フイルムも含めてシェア10%台でしのぎを削る。ソニーは「サイバーショットのフラッグシップ機として期待している」と力を込め、今回の製品の出足は好調のようだ。高級コンパクトデジカメもすでに競合状態にあるなか、ハイアマチュア層の納得いく機能をいかに打ち出すかが勝負の分かれ目となりそうだ。
価格 | 実売6万円前後 |
販売目標 | 当初月産1万台 |
発売 | 6月15日 |
撮像素子 | 13.2×8.8mm(1.0型)CMOSセンサー |
有効画素数 | 2020万 |
ISO感度 | 125~6400(25600まで拡張可) |
連写速度 | 約10コマ/秒 |
液晶モニター | 3.0型TFT(122.9万ドット) |
レンズ | 焦点距離28-100mm相当、開放F値(絞り値)F1.8-F4.9、光学3.6倍ズーム |
サイズ、重さ | 101.6×58.1×35.9mm、約240g(バッテリーなど含む) |
記録媒体 | メモリースティックデュオ/PROデュオ/PRO-HGデュオ、SD/SDHC/SDXCメモリーカード |
【ベンチマーク商品】
富士フイルムの高級コンパクトデジタルカメラ「フジフイルム X10」。撮像素子は2/3型CMOSセンサー(有効画素数1200万)で、シーンに合わせて3つの撮像方式(高感度・低ノイズ優先/ダイナミックレンジ優先/高解像度優先)に自動的に切り替わる。
ISO感度は100~12800。通常連写速度は約7コマ/秒。2.8型TFT液晶(約46万ドット)。レンズはF2.0-F2.8(焦点距離28-112mm相当)の明るい光学4倍フジノンレンズを搭載、非球面レンズ3枚を含む11枚にすべてガラスレンズを使用。サイズは117×69.6×56.8mm、重さは約350g(バッテリーなど含む)。記録媒体は内蔵メモリー(約26MB)のほか、SD/SDHC/SDXCメモリーカード。2011年10月発売。実売7万円前後。「2011年度グッドデザイン賞」受賞。
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