2019年8月20日(火)

「無料」が広げるセキュリティーの穴
(テクノロジー編集部BLOG)

2013/3/29 7:00
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新入学シーズンの春は、1年で最も携帯電話の加入者が増える時期です。最近は売り場で従来型の携帯電話を探すほうが大変なほどの空前のスマートフォン(スマホ)ブーム。中学や高校への入学をきっかけに、"スマホデビュー"を飾る学生が増えることでしょう。

様々な制約があった従来型携帯電話とは異なり、スマホには無線LAN機能とパソコンと同じWebページを見られるブラウザー、さらにアプリをインストールできる仕組みがあります。これらを使いこなすことで様々な情報にアクセスできるようになります。この傾向に拍車をかけているのが、いくつもある無料サービスです。

無料のメールサービスに登録すれば、だれとでもメールをやり取りできるメールアドレスを取得でき、そのアドレスをIDに使って無料無線LANサービスも利用できます。さらに無料のチャットや通話アプリを使えば、携帯電話回線を使わなくても友達と「会話」ができます。しかも無線LANにつながる端末はタブレットや音楽プレーヤー、デジカメなど多様化する一途です。

親からすると携帯電話事業者やインターネット接続事業者を押さえていれば安心だった時代は終わっており、子どもたちは無料で手に入るアドレスや無線回線を経由して多様なサービスを利用できるようになっています。

知人がこんな話をしていました。「小学生の子供に(アップルのタブレット)iPadで無料のゲームを使わせていたのだが、そのゲームにはメール機能が付いていた。相手はクラスの友達だったようだが、いつのまにかメールを使っていたのには驚いた」――。既に知らぬは親ばかり、なのかもしれません。

   ◇         ◇   

先日、10年以上使っていた無料のメールアドレスを1つ「廃棄」しました。セキュリティー上の不安に思い至ったからです。

このアドレスにはある時期以降、迷惑メールが殺到するようになったため、メーンで使うアドレスを別に作り、たまに古くからの友人からメールが届いているかチェックする程度にしていました。それでもこのアドレスには、過去に友人とやり取りしたメール送信履歴が残っていたことに加え、「無料」という気軽さがあったため、使い続けていました。

しかし数年にわたって半ば放置状態にしていたアドレスに届くのは、過去に登録したメールマガジンと迷惑メールだけ。サーバーにアクセスする頻度が極端に減っていました。これではもし第三者にパスワードを破られ、アドレスを乗っ取られても気がつかない恐れがある…。そう考えてすっぱり解約の手続きをとりました。

もしこれが有料サービスだったなら、たとえわずか月額105円だったとしても、もっと早く解約していたはずです。ずるずると使い続けてしまうところに無料ゆえの怖さがあります。

   ◇         ◇   

かつては有料が当たり前だったネット接続やメールアドレスの取得が無料になったことで、多くの面でメリットを享受できるようになりました。喫茶店で無料の無線LANサービスを使えば、いちいち回線を確保しなくても端末からネットにアクセスできます。無料のメールアドレスを活用すれば、短期間に特定の用途のためだけに「使い捨ての」アドレスを手に入れられます。

ただ、こうした手軽さ、気軽さが思わぬセキュリティーホールとなっている可能性があります。例えば無料の無線LANサービスには、「ログイン後は暗号化をしていないため、秘匿性の高い情報を送受信する場合には、自分で通信内容を保護することを勧める」といったただし書きがあります。使い捨てにしたメールアドレスがいつの間にか悪用されているかもしれません。

使い方を誤ると、情報漏洩やなりすましなどの温床になりかねません。便利さの裏にある危険性を意識して、使いこなす賢さが必要になっています。

新しい生活が始まるこの時期だからこそ、無料で始めたサービスを棚卸しをしてみてはいかがでしょう。長い間放置しているサービスはありませんか。安全性に問題はありませんか。もしかすると、思わぬところに穴が開いているかもしれません。なにせ無料ですから。

(松)

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