2018年8月18日(土)

無感情の「つぶやき」ならいらない~糸井重里氏

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2010/5/28付
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コピーライターの糸井重里氏がツイッターで語り始めた。広告の仕事からゲームソフトの開発、作詞などへ活躍の場を広げ、1998年にはインターネット上で「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)を創刊。メディアの世界で独特の個性を放ってきた。ブログにもミクシィにも手を出さなかったが、ツイッターは病みつきになりそうだと打ち明ける糸井氏にツイッター論を聞いた。

 人と人とが接して本当にいい効果を上げるのは「つじ説法」だと思うんです。体力的にはしんどいし、心もくたびれるけれど、それをやらないと「机上の空論の人」になる気がするんです。やっぱり群衆の中を歩きながらしゃべりたい。

糸井重里(いとい・しげさと)1948年生まれ。コピーライター、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)主宰。1998年の創刊以来、毎日更新を続けている。近著に、ほぼ日に掲載した心に残る言葉をまとめた「あたまのなかにある公園。」(東京糸井重里事務所)などがある。

糸井重里(いとい・しげさと)1948年生まれ。コピーライター、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)主宰。1998年の創刊以来、毎日更新を続けている。近著に、ほぼ日に掲載した心に残る言葉をまとめた「あたまのなかにある公園。」(東京糸井重里事務所)などがある。

 それができるかなと思ってツイッターを始めた。人ごみにもまれながら何か声を出している。押し合いへし合いしているところに身を置かないと「趣味のいい気の利いた人」になっちゃう。そうならないように、ツイッターで修行に出たんです。

あるときの糸井氏のツイッターでの発言。「ツイッター=『つぶやき』ってことで決まっちゃうと、そこから内容が決められちゃうと思うんです。つまり、『つぶやきという題名の歌を歌ってごらん』というやわらかな制約になっちゃうでしょう。で、ぼくは『つぶやき』という歌はふだんも歌ってないので、『おならぷー』という歌を歌い出したのです。」

 別人格に近いくらい、のびのびやりたいと思った。最初から下ネタ、おなら。つぶやくつもりはないぞってまず表現した。それはルール違反だみたいなこともずいぶん言われました。前から穏やかにやっていた人には違和感があったんでしょうね。でもおれはおれのやり方でやる。

 (ひとつひとつの発言は)未完成の作品、エチュード(習作)ですね。発見とかニュースとか、その人なりの感情がないものは言う意味がないと僕は思っている。「これから学校に行くなう」は書く意味ないんですよね。自分が行動するのを説明してもしようがない。僕はそれはできない。ツイッターは「今ラーメン食べてるなう」っていう世界だと思っている人にとっては僕が入ってきたことは迷惑でしょう。「濃すぎるよ」と。でも、おれの体内を経過していないものは、おれが言う意味はないんで。

ツイッター開始直後から糸井氏のフォロワーは急増。5月27日時点で6万8千人を上回る。初めが肝心と糸井氏は意識的に発言を増やしている。

 まめに餌をやっていると育つんですよね。ひなみたいに。こうなったらほぼ日で普段やっている活動とリンクさせたり関係を作ったりしていけるなあと思う。ライブハウスでやっている自分もいれば、川原でやっている自分もいる。ツイッターでは街に出たという気がする。とにかく反応が早い。ツイートっていうボタン押したら5秒後には「僕もそう思います」とか来てますから。メールやホームページの更新では絶対あり得ない。

 これは、はまりそうですね。野球の打ちっ放しがしたいなと思って、ノックバットとボールを持って球場に一人で行く。誰もいないところでカーンと。するとグローブでボールをキャッチする音が聞こえるわけです。(ツイッターにはそういう手ごたえがあり)病みつきですよ。誰だってコミュニケーションがしたくて生きているわけですから。

糸井氏は沈黙や自問自答を重視し、自分の考えを小出しにするようなツイッター利用には最近まで慎重だった。友人の画家、横尾忠則氏の“参入”に刺激されて発言を始めたが、「考えをちょっとずつもらしていると黙って考えられなくなる」との懸念は抱えている。

 ツイッターを始めた結果、一人で天井を見て、考えても分かんないようなことを考える時間が減る可能性がある。それはまずいなと思っている。ノックの進化がなくなっちゃうんですよ。もっと自分の中でためないとね。でも、しばらくは彼女ができたばっかりの男の子みたいなものですよ。何かっていうとニヤニヤしているみたいなさ。(そうした激しいツイッター熱も)いずれは治まるんですけどね。

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