2019年2月16日(土)

天井崩落の茨城空港が選んだ「張らない復旧」

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2011/6/27付
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開港1周年の当日に東日本大震災で被災した茨城空港ターミナルビル。記念行事を取材するテレビカメラの目前で、出発ロビーの天井パネルが落下した。「負傷者は出なかったが、危険性はよく分かった。低価格で良質なサービスの提供を旨とするLCC(格安航空会社)向け空港のデザインとしても、再び天井を張る必要はない」。同ビルを管理・運営する茨城県開発公社の坂入健理事長は、こう判断し、天井を張らずに復旧する道を選んだ。

東日本大震災で天井が落下した茨城空港ターミナルビルの出発ロビー。落下しなかった部分も含めたすべてのパネルを、被災後すぐに撤去。張り替えずにそのまま復旧した。天井は、屋根裏の梁や空調ダクト、照明を避けるように取り付けられていた (写真:日経アーキテクチュア)

東日本大震災で天井が落下した茨城空港ターミナルビルの出発ロビー。落下しなかった部分も含めたすべてのパネルを、被災後すぐに撤去。張り替えずにそのまま復旧した。天井は、屋根裏の梁や空調ダクト、照明を避けるように取り付けられていた (写真:日経アーキテクチュア)

東日本大震災の震度6弱の揺れで約8.3mの高さから落ちた天井パネルの大きさは3m×11m。厚み9.5mmの石こうボードに、厚み15mmの岩綿吸音板を張り、軽量鉄骨製の下地に取り付けていた。現地を調査した東京大学生産技術研究所の川口健一教授らの推計によると、仮に人に直撃していた場合、頭部にかかる衝撃荷重は約5100Nに及んだ恐れがある。この値は、頭頂骨の崩壊荷重である2450Nを優に超える値だ。

施設の設計を担当した梓設計の原口修執行役員は「法的に問題がない補強を施していた。設計ミスや施工ミスではないと考えている」と話す。落下の原因については次のように分析している。

「落下した天井パネルと全く同じ補強を施した別のパネルは落ちなかった。違いは両端の壁の状況だ。落下したパネルは片側が立ち上がり壁で、落下しなかったパネルは両側が屋根で固定された防煙区画壁だった。強度の異なる壁に挟まれていたパネルでは揺れが収まらず、補強材が耐え切れなくなって落下したと思われる」

出発ロビーの天井伏せ図。落下したのは図の天井パネル1だ。パネル4は、パネル1と全く同じ補強を施していたが、落下しなかった (資料:梓設計)

出発ロビーの天井伏せ図。落下したのは図の天井パネル1だ。パネル4は、パネル1と全く同じ補強を施していたが、落下しなかった (資料:梓設計)

出発ロビーの東西方向断面。落下したパネルでは、両端の壁の仕様が異なっていた (資料:梓設計)

出発ロビーの東西方向断面。落下したパネルでは、両端の壁の仕様が異なっていた (資料:梓設計)


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