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個人間の空き部屋ネット仲介、日本でも成長

エアB&BのチェスキーCEOインタビュー

個人間の空き部屋賃貸を仲介するネットサービスで急成長する米エアビーアンドビー(エアB&B)。ベンチャーキャピタル(VC)などによる試算では、非上場ながらも企業価値は約25億ドルといわれる。共同創業者のブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)に会社誕生の由来や今後の展開などについて聞いた。

米エアB&Bのブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)。サンフランシスコ市内のオフィスで。

――空き部屋を貸すというアイデアはどうして生まれたのか。

「工業デザイナーとしての仕事を辞めて、ロサンゼルスからサンフランシスコに移った頃、銀行口座に1000ドルしかないのに、家賃が1150ドルに上がって困っていた。その時、次の週末にサンフランシスコで国際的なデザイン見本市が開かれることを知った。すでに市内のあらゆるホテルが満室だったので、自宅を利用して参加者に宿泊場所を提供したらどうだろうかと考えた」

「実際、3人の見本市参加者がうちに泊まった。インドからの参加者もいた。宿泊代は1泊約80ドルだったので、家賃を払うのに十分なもうけを得ることができた。そして、それ以上に世界じゅうからの訪問者を受け入れるという経験が素晴らしかった。寝る場所だけでなく、朝食や市内ガイドなども提供したので、最後には宿泊者といい友達になっていたんだ。とても楽しい経験だったので、こうした体験を誰もが簡単にできるサービスを始めようと思った」

――社名の由来は。

「当時、私は大学の同級生で、共同創業者となるジョー・ゲビア氏と一緒に住んでいた。宿泊人数分のベッドがなかったので、ジョーのアイデアでエアベッド(空気を入れて膨らませる簡易ベッド)を使うことにした。そして、英語で民宿を意味するB&B(ベッド・アンド・ブレックファストの略)をもじって、エアベッド・アンド・ブレックファストと名付けた。これが会社名のエアB&Bの原型となった」

個人間の空き部屋賃貸サイト、米エアビーアンドビー(エアB&B)では、宿泊地や滞在日程を入力すると、利用可能な部屋の料金や写真が一覧表示される

――4年前に3人で始めたエアB&Bだが、今では世界で従業員500人を抱える。急成長する企業のかじ取りは難しくないか。

「外部からは"急成長"といわれているが、内部ではそんなに急激に拡大しているとは感じていない。時速900キロメートル超の飛行機に乗っていても、乗客はそんなに急速に動いていると感じないのと似ているかもしれない。逆にもっと速いスピードで成長できるのを、あえて抑えている状態なんだ。急成長が問題視されるのは、経営者が制御できないほどスピードが出てしまい、経営のかじ取りが危うくなる可能性があるからだ。そういう事態にならないように十分に注意を払っている」

「従業員数は一日で1人から500人になったわけではない。1人から5人、400人から500人と、人数が増えるたびに私も学んでいる。誰を雇うのか、どういいアイデアを生み出すのか、どう目標を浸透させるのか、とかね。(経営者としての)自分が学ぶペースが、従業員が増えるスピードに追い抜かれなければ問題はない」

 ――海外進出に力を入れているが、日本ではまだ利用者が少ない。他人と家を貸し借りすることに抵抗がある国でも普及するか。

「インターネットの普及で、国境を越えて情報や習慣などが瞬時に共有されるようになった。現代人は、一国の住民というより、グローバル社会の住民という特性を強めている。それぞれの国が持つ独自の文化がなくなるわけではないし、尊重しなくてはいけない。当初の利用者は、若者や日本滞在中の欧米人が中心だとしても、グローバルに人気のあるサービスはすぐに日本で成長する」

――昨夏、貸部屋を壊されたと訴える利用者の意見が、米メディアで大きく報じられた。その後、どのような対策を行ったのか。

「万が一、部屋を荒らさせるようなことがあった場合、貸し手に対して最高で100万ドル補償する仕組みを導入した。カスタマーセンターも24時間体制で、苦情やトラブルに対応している。サイトでは貸し手と借り手の両方が評価される。トラブルの情報は、利用者の間で共有され、今後の安全対策に活用される」

――米自治体のなかには、エアB&Bのように持ち家を短期で賃貸することを法律で規制しようとする動きもある。また、ホテル同様に特別税を徴収すべきだとの意見も出る。どう対応するのか。

「すでにいくつかの地方自治体と話し合いを進めている。例えば、ニューヨーク市では、自宅の短期貸しを法律上のグレーゾーンとみる意見もあり、合法であることを明確にする新しい法律の作成を支援している。エアB&Bを通じて部屋を貸している人の9割が、自分が実際に住んでいる家を貸している。ビジネスとしてホテルを経営しているわけではない。こうして得た収入のほとんどは、家賃や住宅ローンの支払いに役立てられており、すでに地方自治体の歳入増に貢献している」

(聞き手はサンフランシスコ=清水石珠実)

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