盤石の綾瀬、黄金世代が上位独占 女優タレントパワー
日経エンタテインメント!

タレントパワーランキング2014、女優部門の1位は、2013年に続き綾瀬はるかだった。2013年にはNHK大河ドラマ『八重の桜』に主演。放送開始前の話題性に対して視聴率はやや伸び悩んだが、女優1位の座を維持するには十分すぎる活躍だった。2012年の朝ドラ『梅ちゃん先生』のヒットで支持層を拡大した堀北真希も2年連続の2位で、このツートップは安定した人気を誇る女優になった。
意外なランキングの動きを見せたのが北川景子。決して大きな動きがあった1年ではないが、初めてベスト5入りして、自己最高の4位になった。データの推移を時系列でたどると、2013年11月度調査でスコアが上昇している。同年8月に公開された『謎解きはディナーのあとで』の劇場版の宣伝でのバラエティー出演と10月クール連ドラ『独身貴族』のレギュラー出演で、視聴者との接触率がアップして、好感度が上がったと見られる。
高視聴率を記録した2013年秋クールの『リーガルハイ』でヒロインを演じた新垣結衣も、自己最高位となる5位。3位も綾瀬と同世代の上戸彩で、トップ5はすべて、1985~88年生まれの若手女優が占めた。
"大人かわいい"魅力で躍進続く石原さとみ
石原さとみも、大きなランク上昇を見せた。ここ数年、セクシーな"大人かわいい"魅力を見せ、男性・女性両方から支持を集めるようになって、2011年には前年の53位から22位に急上昇した。とはいえ、2013年は19位で"中堅どころ"の順位に留まっていたが、2014年1月期の月9ドラマ『失恋ショコラティエ』で小悪魔系ヒロインを好演して、再び関心が高まった。
2013年3位の天海祐希、同7位だった仲間由紀恵、同5位だった松嶋菜々子といった30代以上のベテラン勢は、総じて順位を落とした。そうしたなかでも、菅野美穂が2013年4月に堺雅人と結婚して以降、女優活動が少なめになっていながらも6位をキープ。7位の柴咲コウもひとつ順位を上げた。年代別のスコアでは、30代男女で菅野が2位、40代男女で菅野が3位、柴咲が6位に入るなど、同世代における支持が根強い。
このところ好調な朝ドラに出演した女優の上昇も、2014年で目立った傾向だ。『あまちゃん』主演の能年玲奈がランク外から一気に25位に急上昇したほか、ヒロインの母親役を演じた小泉今日子が11位に上昇。『ごちそうさん』に主演した杏も、2013年の34位から今年は15位まで、大きく順位を上げた。
現在オンエア中の朝ドラ『花子とアン』に主演している吉高由里子は、朝ドラ主演に向けての準備も含めて2013年はマイペースな活動だったこともあり、今回は順位を落として36位(12年は27位)だった。しかし、2015年は順位が再上昇するに違いない。


『あまちゃん』組と並んで山本美月が急上昇トップ3に
パワースコアが前年調査と比べて急上昇を見せた女優のうち、25歳以下をピックアップすると、次世代を担う期待の若手が見えてくる。
1位・能年玲奈、2位・有村架純、4位・橋本愛の3人は、社会現象にもなった『あまちゃん』で活躍して、幅広い層に支持された。特に能年と有村の伸びは、3位以下を大きく引き離している。ともに朝ドラの放送終了後もCM起用が増えており、今後も注目したい。そのほか、『あまちゃん』にアイドルグループ役で出演した松岡茉優が20位、優希美青が27位、大野いとが35位に入っている。
また、『ごちそうさん』で東出昌大の妹を演じた高畑充希も17位にランクインした。今や朝ドラは、主役以外も含めて、若手女優の登竜門になっている。


3位の山本美月は、2013年秋の『安堂ロイド』で木村拓哉の助手役を演じたほか、映画『黒執事』、ドラマ『僕のいた時間』にも出演。『CanCam』モデルとして20代女性の支持は高かったが、最近は30代・40代の認知度も上昇している。5位の本田翼、7位の桐谷美玲、8位の川口春奈らとともに、ゴールデン帯の連ドラのヒロインに定着しそうな期待株だ。
6位の水原希子は、2014年1月クールの『失恋ショコラティエ』で民放連ドラに初めてレギュラー出演して注目を集めた。同ドラマでは、ヒロインの石原さとみも女優総合トップ30急上昇の要因になっており、視聴率以上に出演女優に対する注目度は高かったようだ。
10代の女優では、人気コミックを映画化した『銀の匙(さじ)』でヒロインを演じた広瀬アリス、E-girlsのメンバーでもあり「dビデオ」「進研ゼミ」のCMに出演する石井杏奈らがランク入りした。

NHKとCM起用のポイントは清潔感か?
タレントパワーランキングの調査では、顔と名前を知っていると答えた女優に対し、どんなイメージがあるかも調べている。
「演技力がある」の割合が高かった女優ランキングでは、『明日、ママがいない』で活躍した芦田愛菜(1位)・鈴木梨央(7位)の2人の演技派子役がベスト10入り。2013年の同じランキングで1位だった満島ひかりは、『WOMAN』の演技が評価され、2014年も上位を維持。8位には、ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した黒木華が入った。

「清潔感がある」の上位には、マツモトキヨシや三幸製菓のCMに出演した相楽樹(1位)、ダイキンのCMに出演する三根梓(6位)など、知名度が上昇途上にあるフレッシュな女優が目立つ。色がついていないことが、清潔感のイメージにつながっている。「清潔感」には、堀北真希(2位)・比嘉愛未(4位)・本仮屋ユイカ(5位)の歴代朝ドラヒロインが入っているほか、7位の高梨臨と10位の土屋太鳳は『花子とアン』に出演中。朝ドラ出演女優と清潔感は、切っても切れない関係にあるようだ。

(ライター 高倉文紀 写真 加藤 康、辺見真也)
[日経エンタテインメント! 2014年6月号の記事を基に再構成]
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