瀬戸際のシャープが世界にもたらす混乱

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2013/3/28 7:00
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(2013年3月21日 Forbes.com)

シャープ・サムスン提携に怒る鴻海

シャープ・サムスン提携に怒る鴻海

日本の家電メーカーの先行きが、これ以上暗くなりえないと思われる状況の中、今度はスマートフォンの内蔵カメラの性能が高まったために、カメラの売り上げが急減している。本来ならキヤノン、ニコン、オリンパス、リコーなどのカメラを購入していたはずの消費者が心変わりしたのだ。日本がまだ主導権を握っている数少ない業界が、また1つ壁にぶちあたったのだろうか?

とはいえ、存続の危機に瀕している会社を、改めて探す必要もないだろう。ソニー、パナソニック、そしてシャープの窮状を見ていれば十分だ。特に悲惨なのがシャープである。

シャープはどれくらい破産に近づいているのか? 一歩手前と見るべきだろう。貸借対照表上の純資産は、長年にわたる損失で枯渇し、今期(2013年3月期)末で6450億円になると予想される。それに対し、今期の連結最終損益は4500億円の赤字となる見通しだ。

2012年12月時点では、貸借対照表上の自己資本比率は9.6%まで低下した。これは会社の存続を前提とした会計的評価だが、市場の評価はその半分程度と、会社がまさに瀬戸際に追い詰められていることを示唆する。

昨年3月、シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と、鴻海がシャープに669億円(8億6000万米ドル)を出資することで合意していた。シャープが発行する新株を鴻海が1株550円で買い取り、持ち株比率は9.9%になる見通しだった。鴻海の出資期限は2013年3月26日、すなわちシャープの決算期末、そして貸借対照表を報告する日の直前に設定されていた。

自分を救い出すホワイトナイト(白馬の騎士)であってほしいという願いは、いつも裏切られやすいものだ。筆者は鴻海の中国子会社とかかわり、企業文化の一端に触れる機会があった。その特徴は情け容赦ないコスト管理であり、労働力の提供者(労働者やスタッフ)や資本(銀行からの借入金利を抑え込むだけでなく、取引先に低利もしくは無利子の企業間信用を要求するなど)に徹底した利益追求の姿勢だった。

この企業文化を確立した創業者兼会長の郭台銘氏は、株価の下落リスクに完全な予防線を張らないまま、赤字を垂れ流し、価値の暴落するシャープの国内製造部門を買収するような人物ではない。今回その予防線となったのは、シャープの株価が契約価格を下回った場合、契約内容を見直すという条項だ。

現在シャープの株価は308円、しかも株価純資産倍率が0.54とあっては、3月26日という鴻海の出資期限が何事も起こらないまま、過ぎ去るのは確実だろう。

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