2018年12月17日(月)

法の"空白地帯"でLEDトラブル、札幌市

(2/2ページ)
2010/8/26付
保存
共有
印刷
その他

「数字で規制するのは難しい」

クリアス社長の竹之内崇氏は以下のように話す。「同タイプの整流器を内蔵するLED照明は世の中に何万本も出回っているが、特に問題は起こっていない」。同市役所では、LED照明が職員の目に入りやすい位置にあったり、新しい照明に対する個人の順応性が違ったりしたことで、体調不良を招いた可能性がある。

クリアスが納入したジェネライツ製のLED照明は、市の仕様に適合していた。市が入札の際、明るさや電圧の変動幅を制限するなど、ちらつきを抑えるための仕様を盛り込んでいなかったのだ。「仕様は蛍光灯の規格に準じてつくった。ちらつきが問題になるとは思ってもいなかった」(池田氏)

それでもクリアスは健康被害が出たことを重視。2550本すべてについて今後、電圧がゼロに落ちず、変化も少ない回路を備えた別のLED照明を納入し直す。詳細は決まっていないが、同社は追加費用を市に求めない方針だ。

こうしたトラブルの根本的な原因は、LED照明の規格や基準の法整備が進んでいないことにある。例えば、大半のLED照明は電気用品安全(PSE)法の規制対象外で、安全性が法的に担保されていない。

経済産業省は同法の政令改正の方針をようやく掲げた。11年3月までに電球形のほか、光源と灯具が一体のLED照明を規制対象に加える。

ただし、ちらつき防止の規定は「安定的に点灯動作するための装置を設ける」といった記述にとどめる見込み。「明るさや電圧の変動幅がいくらまでなら健康被害が生じないのか、客観的な数字で規制するのは難しい」(同省製品安全課)からだ。

日進月歩の技術に規制をかけるのは好ましくないという見方はある。しかし、規制がないばかりに玉石混交の製品が市場にあふれ、トラブルに巻き込まれた消費者が不信感を募らせるという不幸な状況も生まれている。時には変化を先取りした「攻め」の規格や基準の整備も必要だ。

直管型LED照明がソケットから外れて落下しないように、市は既存の蛍光灯具に落下防止金具を取り付けた。40W型蛍光灯の重さは100~200g程度なのに対して、同型のLED照明は2~3倍の重さがあるからだ(写真:日経アーキテクチュア)

直管型LED照明がソケットから外れて落下しないように、市は既存の蛍光灯具に落下防止金具を取り付けた。40W型蛍光灯の重さは100~200g程度なのに対して、同型のLED照明は2~3倍の重さがあるからだ(写真:日経アーキテクチュア)

(日経アーキテクチュア 瀬川滋)

[ケンプラッツ 2010年8月25日掲載]

  • 前へ
  • 1
  • 2
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報