スマホゲーム、黄金時代に 成長支える日本の流儀
ジャーナリスト 新 清士

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2014/1/4 7:00
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遊技機の1人当たりの平均利用金額は年9万7100円。月額にすると8100円で、スマホゲームのユーザーよりもかなり高い。遊技機で遊んでいたユーザーは、スマホゲームの高額課金に対する抵抗感が他のユーザーより小さい可能性はある。

■市場は大手5社の寡占状態

ロールプレイングゲーム「チェインクロニクル」などのヒット作を出したセガのソーシャルゲーム公式ページ(画像は年末のキャンペーン時)

ロールプレイングゲーム「チェインクロニクル」などのヒット作を出したセガのソーシャルゲーム公式ページ(画像は年末のキャンペーン時)

筆者はこうした日本独特の3つの要因が、日本のスマホゲーム市場の急成長を支えているとみている。スマホのゲームユーザーには、ゲームを通じて金銭的な見返りを期待せず、単に娯楽的な刺激に楽しさを求める若い世代も多い。少ない利用金額でいつでも遊べるスマホゲームに満足することが当たり前になると、今後、娯楽や消費に対する彼らの考え方や価値観が変わっていく可能性もあるだろう。

14年はスマホゲーム全盛期になるだろう。市場拡大を見込み、多くのゲーム会社がスマホゲームに参入したり、事業を拡大したりするのは確実だ。しかし、前述のアップアニーの調査は市場の厳しさも示唆している。ガンホー、LINE、コロプラ、セガ、バンダイナムコの上位5社がシェアの3分の2を占める寡占傾向が鮮明だからだ。新規参入組がこれら大手企業の厚い壁を崩すのは容易ではない。

■開発費や広告費、大幅上昇の恐れ

大手も安穏とはしていられない。スマホの性能向上とともに、ユーザーが求めるゲームの水準も高くなるとみられる。その結果、ゲーム開発費は5000万~1億円、宣伝広告費は数千万円という現在の相場はさらに上昇。数億円の開発費が当たり前の家庭用ゲームと変わらない水準になる可能性がある。コストアップはゲーム各社の収益を圧迫し、開発競争はますます激しくなる。企業間のM&Aや提携といった再編が13年以上に活発になるかもしれない。

それでも、スマホゲーム市場の拡大は日本のゲーム業界にとって追い風になる。近年、海外ゲーム会社に押されがちだった各社が、旺盛な国内市場を背景に新しい時代を切り開こうという姿勢に転じつつあることは間違いないからだ。

ユーザーにとっては、スマホゲームの選択肢が大幅に増え、それらを楽しめる「黄金時代」到来といえそうだ。大手のゲームだけではない。大手に一泡吹かすべく、斬新なゲームの開発に日夜、必死で取り組むインディーズ(独立系)ゲーム開発会社も着々と育っている。14年はスマホゲームを舞台に、ユーザー獲得に向け大手、中小が入り乱れてしのぎを削ることになるだろう。

新清士(しん・きよし)
1970年生まれ。慶応義塾大学商学部および環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心としたジャーナリストに。立命館大学映像学部非常勤講師も務める。グリーが設置した外部有識者が議論する「利用環境の向上に関するアドバイザリーボード」にもメンバーとして参加している。著書に電子書籍「ゲーム産業の興亡」 (アゴラ出版局)がある 。
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