進化する新幹線地震対策、送電停止0.5秒で判断へ
新幹線早期地震検知システム

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2014/4/7 7:00
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2011年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の発生時、東北新幹線では27本の列車が運行していた。これらの列車は、実際に揺れ始める前にブレーキをかけて減速して緊急停止し、1人の乗客にもケガはなかった。仙台駅構内で試運転列車1本が1両だけ脱線したが、スピードは時速14kmまで落ちていたため、大事故には至らなかった。

図1 東日本大震災後に一部区間で運転を再開した時点の東北新幹線(2011年4月1日撮影)

図1 東日本大震災後に一部区間で運転を再開した時点の東北新幹線(2011年4月1日撮影)

図2 新幹線早期地震検知システムの地震計

図2 新幹線早期地震検知システムの地震計

地震発生時、大きな揺れが来る前に新幹線にブレーキをかける仕組みが「早期地震検知システム」である(図2)。地震の初期微動を検知し、架線への送電を停止することによって列車を停止させる。東日本旅客鉄道(JR東日本)の場合、初期微動を検知してから止めるべきかどうかの判断に要する時間は2秒。これをさらに、0.5秒へと短縮する研究が進んでいる。

高架橋の補強、脱線時にレールから車両が逸脱しない仕組みの整備などと合わせて、地震への対策は着実に進歩している。新幹線乗客にいまだに死亡事故がないことは、必ずしも技術力によるものではなく、多くの幸運に支えられているといわれる。それでも、新幹線を一刻も早く止められるようにする努力によって、"幸運頼み"の比率は着実に下がっている。

■揺れを検知して送電を遮断

東海道新幹線開業の翌年(1965年)、地震検知システムとして最初に導入されたのが、変電所に設置した地震計が一定以上の大きさの地震を検知したときに、架線への送電を止めるという仕組みだった。「倒立振り子」、つまり一定以上の強さで揺らすと倒れて元に戻らなくなる仕組みを用いた単純な機構だった。

その後1992年になって、初期微動を検知して、震源位置と規模を判定して早期に警報を出す「ユレダス」が実用化された。ユレダスでは、大きく揺れ出す前に列車を完全に停止させるのは難しいが、速度を大きく落として被害を軽減できると見込まれた。当時、主に想定されていたのは、東海地方から四国地方にかけての太平洋沖で発生するとされた、いわゆる想定東海地震だった。

JR東日本は、地震計付近の揺れがどうなるかを予測して警報を出す「コンパクトユレダス」を1997年に導入。2004年の新潟県中越地震では、上越新幹線の「とき325号」は脱線が始まってから約1.5km走行。10両編成中8両が脱線して停止するまで線路を大きく損傷するなどの大事故となったが、死傷者がなかった。コンパクトユレダスによって、とき325号を含む付近の列車に自動的にブレーキがかかったことが、被害を最小限に食い止めることができた理由の1つとされる。

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