2019年2月19日(火)

プーチン氏と蜜月のエクソン 50兆円共同事業に暗雲

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2014/3/27 7:00
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英BPのロバート・ダドリーCEOは、ロシアでの合弁事業TNK-BPのCEO時代、毒を盛られたり、強盗に押し入られたり、ロシア政府ともめて逮捕の脅しをかけられたりした。2006年にTKN-BPはプーチン氏によりシベリアのコビクタ・ガス油田の支配権をガスプロムに強制的に売却させられた。ダドリー氏は最終的に2008年にロシアから逃げた。BPは昨年、現金とロスネフチ株19.75%と引き換えに、同事業の持ち分を売却することでロシア政府と手を打った。ダドリー氏はロシア語が堪能だが、およそプーチン氏の親友とは言いがたい。

米コノコフィリップスはロシア事業には乗り気ではなく、2010年に露石油会社ルクオイルの持ち分20%を約100億ドルで売却した。コノコとロスネフチは今年に入り、ポーラーライツ油田の探査事業を断念することで合意した。

■契約順守求める姿勢が明確

「サハリン2」のガス生産設備。三井物産も参画する(サハリンエナジー社提供)

「サハリン2」のガス生産設備。三井物産も参画する(サハリンエナジー社提供)

それでは、なぜエクソンだけがロシアで成功することができたのか。私はエクソンがプーチン大統領に負けないぐらい鼻っ柱が強いところを見せつけたためだと考えている。2007年にプーチン大統領がロシアのエネルギー産業の国家支配を強めようとしていた時期、エクソンがガスプロムと進めていた「サハリン1合弁プロジェクト」も標的になると見られていた。だがティラーソンCEOは理不尽な仕打ちを受け入れるつもりはなく、ロシアに契約の順守を求める姿勢を明確にした。当時、英フィナンシャル・タイムズ紙がこう伝えている。

(以下、引用) ティラーソン氏は、ロシアにとって天然資源の支配権を取り戻そうとする段階は過ぎていると語った。「ロシアが外資の事業参画を求めるのは、外資の技術力やノウハウが必要であることがわかっているからだ」。
 そして今後エクソンが投資を継続するかは、契約が尊重されるかにかかっていると語った。「ロシアが『過去に署名した契約は気に入らないが、尊重する』と言うなら、当社の投資を妨げるものはない。先へ進むことができる」。

最終的にエクソンは譲歩し、サハリン1で生産されるガスの販売先の決定権をガスプロムが持つことを受け入れた(エクソンは直接中国にガスを販売したいと考えていた)。だが柔軟な対応の見返りとして、エクソンはロスネフチとのさらに大きな事業を手に入れた。現在検討が進められている先述のLNG事業で、投資額は最終的に150億ドル(約1兆5350億円)を超える可能性がある。

昨年6月にロスネフチとの合意に署名する際、ティラーソンCEOはこう語った。「我々は過去の経験から、北極海であろうとどこであろうと、事業の成功には優れた基礎が欠かせないことを学んだ。エクソンモービルとロスネフチとのサハリン1プロジェクトは、こうした経験が生きた好例と言える」。

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