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スポーツギア最前線 ランナー注目のGPSウオッチ、アプリとどう違うか

本格的なマラソンシーズンまっただ中。ジョギングなどのトレーニングに励んだり、マラソン大会へ参加する人も多いだろう。

最近ではスマートフォンのGPS(全地球測位システム)機能とアプリを活用し、走った距離やルートを記録したり、それをフェイスブックやツイッターにアップしたりする人が増えている。しかし、スマートフォンは重く、使いづらいと感じることも多い。その点、GPS内蔵ウオッチなら一般的な腕時計よりは重いがスマートフォンよりは軽く、走りやすい。

GPS内蔵ウオッチで何ができるのか? スマートフォンアプリとはどこが違うのか? 2012年夏以降に発売された新製品から検証していきたい。

セイコーエプソンがGPS内蔵ウオッチを発売する理由

GPS内蔵ウオッチといえば海外製品が中心だったが、セイコーエプソンが「WristableGPS」を発売し、好調な売れ行きとなっている。設計は長野、組み立ては秋田の国産製品だ。

「週1回以上ランニングをする人は国内で約535万人。そのなかで年3回以上マラソン大会に参加するアスリートランナーが約35万人いる」(WristableGPSを扱うエプソン販売)という。そこで、アスリートランナー向けの「SS-500R」、エントリーランナー向けの「SS-300R/G」、ランニング以外にスキーやヨットカヌーなどにも対応できる最上位機種の「SS-700S」とターゲットを分けたラインアップをそろえた。

GPSメーカーならではの機能充実

WristableGPSの特徴の1つが、コンパクトさだ。なかでも重さ49gのSS-500Rは「GPSランニングウオッチの中でも最軽量クラス」(エプソン販売)。小型化できた理由は、GPSを自社開発しているからだという。実は、エプソンは15年前からGPSモジュールを開発製造している国内でも有数のGPSメーカーなのだ。SS-500Rは外形を四角にしてデッドスペースを減らし、部品をギリギリまで詰め込んでいる。

性能面で注目したいのは、最長14時間の長時間駆動が可能な点。14時間使えると、100キロ程度のウルトラマラソンまで対応できるからだ。一般的なGPSランニングウオッチでは連続使用時間が8~10時間程度であることを考えると、本格派ランナーに訴えるスペックとなっている。なお、GPS計測間隔は1秒だ。

また、本体にストライドセンサーを内蔵している点がユニーク。GPSはトンネルやビル街などの電波を受信しにくい状況では、正確な距離を測定できない場合がある。そこで、一般的なGPSランニングウオッチでは「フットボッド」と呼ばれるセンサーをシューズに取り付けて歩数や歩幅を計測し、より正確な測定をできる機能をオプションとして用意していることが多い。一方、SS-500RとSS-700Sは実速度と体振動周波数から歩幅を測定できるストライドセンサーを内蔵し、距離や速度をより正確に表示できるという。このようなきめ細かさは日本製ならではといえる。

ケータイやスマホに比べて防水性能も高いのもポイント。時計を付けたままシャワーを浴びることも可能だ。なかでもSS-700Sは10気圧防水なので、ヨットやカヌーなどのスポーツシーンでも安心して使える。

実際に使ってみて感じるのが、着け心地の良さ。GPS内蔵ウオッチは本体が分厚いこともあって、フィット感がいまひとつのものが多い。SS-700Sは普通の腕時計のように手首にフィットし、違和感がほとんどないのは驚きだった。

3モデルのうち、売れ筋は最上位のSS-700S。というのも、実売価格を見ると、SS-500Rとの価格差が小さく、心拍計が付属していることを考えると、SS-700Sのお買い得感が大きいと判断されているようだ。

機能だけでなく、使い勝手にもこだわったWristableGPS。国産だけにサポート体制も整っており、エントリーから上級者まで安心して使えるモデルと言えるだろう。

心拍トレーニングのポラールもGPS内蔵ウオッチに参入

30年前から心拍トレーニングを手がけてきたフィンランドのポラールからもGPS内蔵ウオッチ「RC3 GPS」が発売された。同社製品では従来から外付けのGPSを使用できるモデルはあったが、GPS内蔵ウオッチは初めてとなる。

ポラールが得意とする心拍トレーニングは、ランニングの強度を心拍数で管理するもの。ランニングは「1キロ5分で走った」というようにペースで管理することが多いが、心拍トレーニングは「1分130拍で10キロ走った」というように心拍数を基本とするものだ。

メリットは体調に合わせたトレーニングがしやすいこと。実際、心拍数を測りながら走っていると、体調の悪い日は心拍数が高くなることに気づく。心拍数をモニタリングしながら走ることで、無理せずに効果的なトレーニングができるわけだ。

トレーニングを効果的に行うために、ポラール製品にはさまざまな機能を搭載した「Smart Coaching」が付いているのも大きな特徴。例えば、ゾーンオプティマイザーはトレーニングの最初の2分間の体調をモニタリングし、その日の体調に合ったトレーニング内容を指示する。大会が近づくとオーバートレーニングになりがちだが、この機能を活用すれば万全の体調で大会を迎えられるだろう。フィットネステストでは安静時の心拍数から推定最大酸素摂取量を算出し、トレーニング効果を測定できる。

さらにGPSを搭載したこのモデルでより使いやすくなった機能が「ランニングインデックス」。どの程度効率的に走っているかを点数化するもので、トレーニングを重ねるほど点数は大きくなる。例えば、ランニングインデックスが40だと、フルマラソンを5時間で走れる力が付いた目安に。トレーニングを重ねてランニングインデックスが50になれば、4時間で走れる力が付いたことになるという。このランニングインデックスは、GPSから得られる走行距離と心拍数の両方のデータを使用。従来の機種ではオプションのストライドセンサーが必要だったが、このモデルならそのまま使える。

RC3 GPSはトレーニングの効率を上げたい人はもちろん、自分の体調に合わせてトレーニングを行いたい人にもおすすめだ。なお、GPS計測間隔は1秒で、連続使用時間は最大12時間になっている。

これまで、GPS内蔵ウオッチの選択肢は多いとはいえなかったが、ランニングブームの定着とともに、ユニークな機能を持った製品が増えてきた。普段使いの時計をシーンやファッションに合わせて使い分けるように、ランニングウオッチも用途で使い分ける時代が始まろうとしているのかもしれない。

(ライター 根本佳子)

[日経トレンディネット2013年2月14日掲載]

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