生き馬の目を抜くスマホゲーム戦争

2013/3/27 7:00
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3月25日、ソフトバンクはゲーム開発会社、ガンホー・オンライン・エンターテイメントを連結対象にすると発表しました。ガンホーといえばスマートフォン向けパズルゲーム「パズル&ドラゴンズ」を大ヒットさせた会社。同ゲームのダウンロード数は1000万を突破しており、課金アイテムの売り上げは今年2月だけで約100億円に達しました。

株価もうなぎ登りで、今年2月にソーシャルゲーム大手、グリーの時価総額を追い抜くと、3月には時価総額が5000億円を突破、グリーを2000億円以上も引き離しています。今、「パズドラ」がガンホーに驚異的な収益と株高をもたらしているのです。

そのため、ガンホーやパズドラは2月や3月になってメディアで取り上げられる機会も急増しました。ですが、パズドラのデビューは1年以上も前の2012年2月。ブレイクまでには若干の「時差」があります。

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筆者がパズル&ドラゴンズを遊んでいた時期は、ちょうどiOS向けのパズドラが出たばかりの頃で、「モバゲー」や「GREE」のソーシャルゲームが全盛の時期と重なります。

モバゲーやGREEでは、カードの強さを競うカードバトルゲームが主流で、より強いカードが得られる(かもしれない)「ガチャ」や「コンプガチャ」が、莫大な収益をもたらしていました。ユーザーは、ゲームそのもののストーリー性やゲーム性というよりは、ガチャ自体の面白さにハマっていた側面が強いと思います。筆者も、コンプガチャに熱くなり、結局、20万円ほどをつぎ込んでしまいました。

そうした「課金地獄」の経験があったからか、パズドラに触れたときは、とても「平和」で「やさしい」と感じた記憶があります。パズドラは、パズルをしながらモンスターを倒し、ダンジョンを進んでいくゲーム。手持ちのカードの種類によって、モンスターに与えられる攻撃力が変わる仕組みで、一般的なソーシャルゲームと同じく、より強いカードは有料のガチャでしか引けません。

なにが「平和」で「やさしい」と感じたのか。まず、運営会社が、その有料のガチャを引くための仮想マネーを、タダでたくさんくれました。「この会社は稼ぐ気がないのでは?」と思ったほどです。そして、結局、タダで有料のガチャをまわすと、ものすごくレアで強いカードが、けっこうな確率で出てくるのです。ほかのソーシャルゲームでは数万円ほどの投資を必要とするアイテムが、数百円、あるいはタダで手に入ってしまう、という感覚です。

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なにより、パズルとRPGを組み合わせたゲーム性が面白い。パズドラがデビューした当初から、ゲーム性そのものを評価する声がネットの各所であがっていたのを記憶しています。面白いが、収益力は乏しい。そんな評価もありました。

それから1年。ユーザーに優しかったパズドラの収益力が徐々に向上し、ついにはグリーの時価総額を大きく抜いてしまいました。まさに、亀がウサギを抜く、ようなことが起きたのです。

今年2月、地方の日帰り温泉で、関東からスキー旅行にきていた学生の団体が温泉の休憩所でそろってパズドラを楽しんでいる光景を目にし、「コンプガチャ騒動」で揺れていた1年前とは隔世の感を感じました。3月には、たまたま立ち寄った東京・渋谷の焼肉屋で、サラリーマン2人組がもつをつつきながら、黙ってパズドラをやっていたのにも驚きました。

考えてみれば、ゲーム業界というのは元来、浮き沈みが激しい業界。家庭用ゲーム機の世界でも、激しいはやり廃りが繰り返されてきました。口コミの伝達力がさらに高くなり、スマホが普及した今、その浮沈のスピードは格段に早まっているような気がします。

そんな生き馬の目を抜く業界で生き残りを決めるカギは、やはりゲーム業界で長いあいだ活躍し続ける会社にあるのだと思います。ガンホーの森下一喜社長があるインタビューで、任天堂をロールモデルとして見ていると話していたのは印象的でした。

(理)

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