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LINEの不安解消 スマホアプリ設定の勘所

ソーシャル活用の新常識(5)

 本連載の最終回となる今回(第5回)は、無料通話・メッセージサービスの「LINE(ライン)」活用のポイントを取り上げます。LINEで個人情報やプライバシーの流出を防ぐために特に気をつけたいのは、スマートフォン(スマホ)向けアプリの設定方法です。ソーシャルメディアの動向を伝える「SMMLab」の担当者がLINEアプリ設定のポイントについて解き明かします。

「LINE」は2011年6月にスタートした比較的新しいサービスですが、2013年11月には早くもユーザー数が全世界で3億人を超えるまでになりました。

本連載で紹介してきたGoogle+やFacebook、Twitterに比べると、親しい友人や家族など限られた人間関係の中で使われることが多いようです。気軽にスタンプで直感的なやりとりができる点がLINEの特徴です。

スマホのアドレス帳情報を収集する独特の仕様

LINEを使いこなす上でとりわけ気をつけたい「落とし穴」は、スマートフォン(スマホ)アプリのインストールと初期設定にあります。無料ネットサービスの初期設定に注意が必要なのは、第1回でも説明した通りですが、LINEでは特に重要なポイントになります。

スマホは基本的に個人単位で使うデバイスなので、自分の知人・友人に関する情報をアドレス帳に登録している人も多いのではないでしょうか。そして、LINEアプリには、スマホのアドレス帳情報が収集されるという独特の仕様があります(後述する通り、収集を許可しないという設定も可能です)。そのため、最初に仕組みや設定をきちんと理解せず、標準設定のままでLINEのアプリをインストールしてしまうと、アドレス帳に登録していた知人の電話番号やメールアドレスが、意図せずLINEのサーバーに送信されてしまいます。その結果、想定外の見知らぬ人と「友だち」になってしまい、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

さらに無料通話やメッセンジャーの機能は、オープンなソーシャルメディアというよりも、電話やメールと同じ様な感覚で利用しがちです。LINEに実名や顔写真のアイコンを設定している人も少なくありません。「スマホのアドレス帳からしかつながらない」という思い込みで、コンタクトしてくる人に対する警戒が緩くなってしまいがちです。

「アドレス帳」「友だち」に関する設定を入念に

LINEを不安なく利用するためには、まず「アドレス帳」と「友だち」に関する設定に留意しましょう。以下はiPhone(iOS 7)用LINEアプリを基に解説します。Android版アプリでは画面やボタンの位置が異なることがありますが、基本は同じです。

プライバシー設定をするためには、まずメニューの「その他」をタップして一覧画面から「設定」を選択。すると、各種セキュリティーに関する設定項目が表示されます。

図1 LINEでプライバシー設定をする画面(iOS7の場合)

続いて、LINEを安心して利用するための主な注意点を7つ挙げます。

【注意点1】インストール時のアドレス帳送信は慎重に

LINEは「相手」がいないと面白みがないサービスです。そこでアプリのインストール時に、アドレス帳の電話番号からLINEを使っているユーザーを探し出し、友だち候補として表示してくれる機能があります。

アプリを使い始めたばかりの段階で友人とつながることができるのは便利です。ただし、この便利さを実現するために、あなたのアドレス帳のデータがLINEのサーバーに送信され、データベースと照合されています。

つまり、「昔の友人の電話番号を現在使っている見ず知らずの人」「私用のスマホから電話をかけたことがある取引先の人」などと知らないうちにつながってしまう可能性があります。多少不便かもしれませんが、新規登録時にアドレス帳データは送信しない(送信を促すメッセージでOKを選択しない)ことをお勧めします。

【注意点2】「友だち自動追加」はオフが推奨

初期設定のままでは、自分のアドレス帳に登録している人が自動的に友だちに追加されてしまいます。友だちの追加は手動でもできるので、「友だち自動追加」はオフにしておくのがいいでしょう。

【注意点3】「友だちへの追加を許可」は必ずオフにしよう

こちらも初期設定ではオンになっています。そのままだとアドレス帳に自分の電話番号がある人には、自動的にLINEの友だち一覧に候補として表示されます。自分のアドレス帳から削除した人でも、相手側に残っていれば表示されてしまうので、思わぬトラブルにつながるリスクがあります。「友だちへの追加を許可」は絶対にオフにしておきましょう。

図2 注意点2「友だち自動追加」と注意点3「友だちへの追加を許可」の設定方法

【注意点4】トラブルの種になりそうなコンタクトはブロック

知らない人、連絡を取りたくない人、しつこくコンタクトしてくる人は「ブロック」しましょう。個人情報やクレジットカード情報などを詐取しようとするフィッシング詐欺サイトに誘導しようとする業者も増えています。ブロックしても相手には伝わりませんし、元に戻したい場合はブロックリストから解除できますので、トラブルになる前にブロックしてしまいましょう。

【注意点5】トーク内に貼られたリンクを安易にクリックしない

たとえ友人からであっても、LINEのトークに貼られている見慣れないURLのリンクは、タップ(クリック)しないほうがよいでしょう。フィッシング詐欺サイトやアダルトサイト、違法サイトなどに誘導されてしまうリスクがあるからです。

【注意点6】LINEアプリ起動時のパスコードを設定して第三者の不正利用を避ける

LINEでは、スマホを変更したときやパソコンでも利用できるようにするため、メールアドレスと「パスワード」を設定できます。これらが悪意のある第三者にわかってしまうと、勝手に変更されてしまい、アカウントが乗っ取られてしまう危険があります。特に気をつけたいのは、スマホでLINEを利用する時です。誰でも簡単にアプリにアクセスできる状態にしておくと、メールアドレスなどを変更されてしまうリスクがあるからです。

そこで、アプリでは「パスコード」を設定しておくようにしましょう。これは前出の「パスワード」とは異なり、LINEアプリを起動するための4桁の番号です。アプリを起動するときにパスコードの入力が必要な設定にしておけば、アカウント乗っ取りのリスクを低減することができます。

もちろん、LINEを利用する時のパスワードも厳重に管理し、定期的に変更するようにしましょう。

図3 注意点6の「パスコード」と、後述する「IDの検索を許可」の設定画面

【注意点7】古いバージョンのLINEアプリを使い続けない

古いバージョンのAndroid版LINEアプリには、現在のパスワードを入力しなくても(パスワードを知らなくても)、新しいパスワードを入力するだけで、変更を受け付ける仕組みになっているものがあります。前出のアカウント乗っ取りを簡単にすることができるというセキュリティー上の重大な脆弱性があり、使い続けるのは危険です。LINEアプリに限らず、スマホのアプリはなるべく最新版を利用するようにしましょう。

これら7つのポイントに注意すれば、安全性は確実に高まります。

「LINE ID」とゲームの密接な関係もトラブルの元

最近では、LINEにまつわるトラブルや犯罪が多数報道されるようになりました。LINE自体が普及したために関連するトラブルが増えたという面は確かにあるでしょう。それに加えて、LINEに特有の理由があると考えています。

それは「LINE ID」とゲームの関係です。LINEでは電話番号以外に、登録時に設定したユーザーID(LINE ID)でも友人を検索することができます。見知らぬユーザーにこのLINE IDを知られてしまうと、検索されて、勝手に友だちに追加されてしまうことがあります。前出の図3で示したように、「IDの検索を許可」はオフにしておいた方がいいでしょう。

第三者に知られたLINE IDが「出会い」や「詐欺」といったトラブルの入り口になることがあります。最初から「出会い」を目的にLINE IDを公開している人はそれほど多くないでしょう。ところが、「出会い」目的ではないのに積極的にLINE IDを公開する人たちがいます。それは「有料課金を避けながらLINEゲームを楽しみたい」という人です。

人気のLINEゲーム内では、仮想通貨(コイン)を有料で購入する仕組みがあり、貴重なアイテムに交換するのに使えます。LINEに友人を招待したり、LINE上の友だちに譲ってもらったりすると、お金を払わなくても無料で貴重なアイテムを入手できることがあります。これを目当てにした利用者がLINE IDを自ら公開し、ゲーム仲間としてのLINE友だちを募集するネット掲示板も多く存在します。

LINE IDは、登録時には実名に近い方が友だちを探しやすくなるため、個人を特定しやすいものを入力しがちですが、一度設定すると変更できません。FacebookやTwitter、Google+など他のSNSに参加している場合、それらのプロフィールや投稿からLINE IDを類推されてしまうことも考えられます。LINE IDは電話番号やメールアドレスと同じぐらい重要な個人情報として、注意深く取り扱う必要があります。

「既読スルー」という新たな問題

LINEを安心して利用するためにセキュリティーに配慮すると、他のSNSとは違って新しいつながりが生まれにくく、必然的に人数が限られた濃密な人間関係をLINE上で作ることになりがちです。こうした環境の中で、若者文化を反映した独特のルールが形作られます。昔はネット上のエチケットを指す「ネチケット」という言葉がありましたが、LINEを使う若者の間にも、新しいネチケットが生まれているようです。

例えば、LINEにはメッセージを開封すると「既読」というマークが付く機能があります。既読状態で放置したまま返信しない行為は「KS(既読スルー)」と言われます。メッセージを送信したユーザーが気に病んだり、いじめのきっかけになったりする「既読無視問題」が最近話題になっています。

LINEは「つながっている」という親近感を生み出します。返信の即時性が高いのも特徴です。ただし、既読の有無が好意のバロメーターのように捉えられてしまう感覚は、「行き過ぎた仲間意識」のようにも思えます。このように感じるのは、一定以上の世代の大人の方が多いようです。世代間で受け止め方が異なるという点で、意外に大きな「落とし穴」だと言えるでしょう。

昔、電子メールが急速に普及していた時期には、相手がメールを開くと通知してくれる「開封通知メール」が、マナー違反だと嫌われたこともありました。ところが、LINEの世界では「既読が相手に分かるので返事をしなければ悪いと思う」という大学生が71.4%もいるそうです。(ジャストシステム調べ)

「いちいち面倒くさい」と思って「KS(既読スルー)」してしまうと、想像以上に相手にショックを与えてしまいかねません。未読のままメッセージ内容を確認できるアプリなども登場しているようです。

ですが、ここはひとつ「大人」のあなたが空気を読んで、既読スルーするのではなく、「多忙だ」というスタンプを返しておくことをお勧めします。ウサギの「コニー」が焦った表情をしているスタンプや、長髪の男性「ジェームズ」が忙しそうに仕事をしているスタンプなど、この種のスタンプが豊富にそろっているのもLINEの特徴です。

少々厳しいことも書きましたが、LINEはとても便利なツールです。同種の無料通話・メッセンジャーアプリと比べて普及率も高く、生活に欠かせないコミュニケーションインフラになりつつあります。だからこそ、落とし穴に気をつけて安全に使いこなしたいものです。

藤田和重(ふじた・かずえ)
 ラジオ番組制作や音楽制作マネジメントを経験後、2008年アライドアーキテクツ入社。現在はソーシャルメディアマーケティングに関する国内外のニュースや事例、運用のヒントなど掲載するウェブサイト「SMMLab」編集長を務める。
大森麗奈(おおもり・れいな)
 早稲田大学社会科学部卒業後、ファッション誌等のライターとして活動。グローバル企業のSNSアカウント運用を経験後、2013年アライドアーキテクツ入社。「SMMLab」で記事を執筆。
[ITpro 2013年11月29日付の記事を基に再構成]

(連載終わり)

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