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消防庁、宿泊施設の「適マーク」復活へ ネット対応も

総務省消防庁は、宿泊施設の防火安全性を証明する新たな表示マーク「防火基準適合証」を2014年秋にも導入する。2003年に廃止された旧「適マーク」を事実上、復活させる。2012年5月に広島県福山市で発生したホテル火災を踏まえた対策だ。7月17日に公表した「ホテル火災対策検討部会」(部会長:関澤愛・東京理科大学教授)の報告書に盛り込んでいる。

新たな表示制度の案によると、対象となるのは収容人員30人以上で3階建て以上のホテル・旅館。ホテルなどの事業者からの申請によって、消防機関が必要に応じて立ち入り検査して認定する。防火管理の実施状況や消防用設備の設置状況などが消防関係法令に適合していることに加え、現行の建築基準法令基準(構造・防火区画・階段)に適合していることを点検する。

新マークの図柄は、青地に銀文字と金文字の2種類。銀文字のマークは1年間有効。3年継続して取得すると、翌年から3年間有効の金文字のマークになる。フロントなどに掲示するほか、ウェブサイトでも表示できるようにする。

ネット検索サービスとの連携も

旧適マーク制度は、東京・新宿の歌舞伎町ビル火災を踏まえた消防法改正によって、防火対象物定期点検報告制度が導入されたことを契機に廃止。現行の表示制度には、消防法の防火基準に適合した300人以上収容の建物が掲示できる「防火基準点検済証」と、それより小さい建物の「防火自主点検済証」があるが、小規模なホテルなどでは普及していないのが実態だ。

報告書では、ホテル・旅館には、建築構造を含めた防火安全性を証明する制度がないと指摘。そのうえで「旧適マーク制度の点検項目を基本とし、事業者の申請に基づき消防機関が認定する新たな表示制度の整備が必要だ」と提言した。防火対象物定期点検報告制度の活用や、建築部局との情報共有によって、消防の検査などの負担軽減を図る。

さらに、「インターネットなどによる宿泊予約が多く利用されてきているため、インターネット時代に対応した公表方法についても検討する必要がある」と言及。ネット検索サービスとの連携などによって利用者に選択しやすくすることで、安全対策に不備があるホテル・旅館を淘汰していくといった考え方を示した。

消防庁は、既存不適格建築物の扱いや、インターネットでの表示方法などについて関係省庁と詳細を詰め、まとまり次第、基準として公表する予定だ。

自動火災報知設備の義務化対象拡大へ

報告書ではこのほか、2012年5月に発生した福山市の「プリンスホテル」での火災が、現行の建築基準法の防火基準への不適合や、適切な初期消火活動の未実施などが、早期の延焼の拡大、煙の拡散の要因となったと指摘。まずは、現行の各種規制について適切に順守させることが必要だと指摘した。火災の危険性が想定される防火対象物でありながら、消防本部の立ち入り検査が9年間行われていなかった点を踏まえ、計画的な立ち入り検査の実施体制を整備する必要性にも言及した。

さらに、火災を早期に知ることが重要だとして、300平方メートル(m2)未満の小規模のホテルや旅館に対する自動火災報知設備の設置義務化について検討が必要だと指摘した。小規模な社会福祉施設や診療所など就寝機能のある施設への規制も含めて総合的に検討するよう求めた。

消防庁は2013年3月、同庁の立ち入り検査に関するマニュアルを一部改正。自動報知機の設置義務化の対象拡大については、2013年度中に消防法施行令の改正案をまとめる方針だ。

前述の福山市のホテル火災では7人が死亡、3人が重傷を負った。事故後の調査では、ホテルのずさんな経営体制や、市の不十分な指導が判明するなど、施設の利用段階でのチェック体制の欠如が浮き彫りになった。

消防庁は2013年5月、火災の調査結果を公表。出火原因は「特定に至らなかった」としつつ、建物が耐火構造ではなく、階段部分の防火区画も設けられていなかったこと、自動火災報知設備が2系統に分かれて連動していなかったことなどが、被害を拡大させたと指摘した。

1971年以前のホテル・旅館の半数で法令違反

消防庁は、福山市のホテル火災を受け、防火基準が強化された1971年以前に新築された3階建て以上のホテル・旅館を対象に、消防法令への適合状況を調査。2012年12月から2013年2月にかけて実施したフォローアップ調査の結果では、対象となった703件のうち、51.4%に当たる361件に何らかの消防法違反が見つかった。屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備のいずれかが、床面積の過半にわたって未設置の重大な違反は、5.0%の35件あった。

また、国土交通省も、1971年以前に新築された3階建て以上のホテル・旅館を対象に、建築基準法令の防火・避難関係規定への適合状況を調査。2013年3月に公表した調査結果では、対象となった1797件のうち、47.8%に当たる859件で防火や避難に関する建築基準法違反があった。違反の内容は、耐火建築物関係364件、非常用照明装置関係331件、防火区画関係298件、排煙設備関係186件、直通階段関係135件、内装制限関係128件――など。2013年1月末時点で是正されたものは110件(12.8%)にとどまり、改善が進まない実態が浮き彫りになっている。

(ケンプラッツ 佐々木大輔)

[ケンプラッツ 2013年7月25日掲載]

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