電気自動車の充電インフラ、巨額投資が始まる

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2010/5/26 9:00
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GridPoint社は、この仕組みをEVだけでなく住宅内の家電機器のエネルギー管理に適用することも狙う。情報収集装置という点で、「VCMは、スマートメーターと同じようなもの」(同社 Product ManagementのSeth Bridges氏)とみるからだ。同社は2009年12月、HEMSを手掛ける米Control4社と共同で、HEMS用ソフトウエアを開発した。既に大手電力事業者Xcel Energy社と実験を始めている。「将来、PHEV/EVと住宅内のエネルギー管理を、一つのプラットフォーム上で提供する」(Bridges氏)ことが目標だ。

虎視眈々と覇者狙う中国

4兆元(約53兆円)――。中国が今後10年間で電力インフラに投入する投資額である。まさに"ケタ違い"の投資計画に、世界中の関連企業が色めきたっている。今や、充電インフラやスマートグリッドの国際標準活動の場で「中国の参加者が発言すると、全員が一斉に耳を傾ける」(充電インフラ関連の標準化活動に加わる国内関係者)状況にあるという。

その中国に、トップ交渉で乗り込んだのが米国である。2009年11月、オバマ大統領は中国の胡錦涛国家主席と共同で、「U.S.-China Electric Vehicles Initiative(米中電気自動車イニシアティブ)」を発表した。今後、充電インフラ開発に向けた標準仕様の共同開発や、10数都市での実証実験などを進める。標準仕様の"共同"開発とうたいながらも、既に米国には充電インフラを含めたスマートグリッド向けの標準化の枠組みがある。米国で標準化の作業を取りまとめる米NIST(National Institute of Standards and Technology、国立標準技術研究所)のGeorge Arnold氏は「当然、(中国は)この枠組みを基に検討していくことになるだろう」と語る。

図7 日米は中国市場を目指す(日経エレクトロニクス2010年3月23日号の特集「充電インフラを握れ」より抜粋)

図7 日米は中国市場を目指す(日経エレクトロニクス2010年3月23日号の特集「充電インフラを握れ」より抜粋)

一方、日本も負けじと中国市場へ挑んでいる。日本の場合、企業が中心となって動いている。例えば日産自動車は2009年4月、中国の行政部門である工業情報化部と提携して、武漢市で充電インフラのプロジェクトを始めると発表。同年11月14日には、広東省と同様の共同プロジェクトを始めるとした。

充電インフラの標準化でも、トヨタ自動車や日産自動車など大手自動車メーカー4社と東京電力が中心となって2010年3月に立ち上がった協議会「CHAdeMO」が窓口になり、中国との話を進めることになりそうだ。ポイントは、CHAdeMOに東京電力が加わっていること。中国で、充電インフラの標準化を主導するのは電力事業者である。具体的には、中国最大の国有の電力事業者であるState Grid社(国家電網)だ。「東京電力は過去に、国家電網に送電技術などを供与した経緯もあり、つながりが深い」(海外電力調査会)。これを生かして、交渉の窓口を引き受けている。

本来、国内の地域ごとの電力事業が最大の役割である日本の電力会社にとって、他国の充電インフラにかかわることの利点は小さい。だが、東京電力は、急速充電スタンドの開発で、日本の電力系統で使いやすい仕様を自動車メーカーに提案してきた。このため、日本の自動車メーカーの動向とは歩調を合わせたいと考えである。

図8 国家電網がV2G技術を実演  上海国際博覧会(上海万博)の国家電網館近くのスペースで見せたもの。

図8 国家電網がV2G技術を実演  上海国際博覧会(上海万博)の国家電網館近くのスペースで見せたもの。

中国は日米の"いいとこ取り"を狙う

では、肝心の中国自身は、充電インフラについてどんな構想を描いているのか。その一端が浮かび上がってきたのが、2010年5月1日に開幕した上海国際博覧会(上海万博)である。国家電網が万博会場を、充電インフラを含めたスマートグリッドの実験場として活用したのだ(図8)。その実験から見て取れる特徴は、日本と米国の良いところを共に取り込もうとする点にあった。

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