NHK放送技術研究所は、ヘッド部の重さが約4kgと従来に比べて小型化を図った、7680×4320画素の「スーパーハイビジョン」(SHV)相当の映像を撮影できる放送用ビデオカメラを、「技研公開2012」(2012年5月24日~27日)に出展した。レンズを含めてた重さは約5kgとなり、「従来のSHV対応の放送用ビデオカメラに比べて約1/6になった」(同社の説明員)とする。外形サイズは、現行の地上デジタル放送用カメラと同等という。ヘッド部の消費電力は45Wである。
日立国際電気と共同で開発した。7680×4320画素を備えた2.5型のCMOSセンサを、1枚のみ使用することで小型化を実現した。従来はCMOSセンサを3~4枚使用しており、RGB3色に分離するプリズムが必要だったため、カメラ・ヘッドの小型化が困難だった。
撮像素子は、カラー・フィルタとして2×2画素を1組として、RGGBの4画素(2×2)を割り当てるベイヤー配列の構造を採用する。このため、撮影した時点では「SHVの画素数に対して、Gは1/2、RとBは1/4の状態」(NHK放送技術研究所の説明員)という。開発品では、撮影後にアップコンバート処理を施すことでRGBそれぞれでSHV相当の映像を作り出している。
アップコンバート処理は、撮影した1フレームに対して実施する。まず、画素数が最も多いGに対して、「欠落している画素の縦と横それぞれ6画素ずつの相関関係から画素を補間していく」(NHK放送技術研究所の説明員)という。その後、得られたGの映像から、「RとBの画素を推定していく」(同)とした。
(日経エレクトロニクス 佐伯真也)
[Tech-On! 2012年5月24日掲載]