/

抗菌シャツ、洗うと効果が消えるはホント?

ホントが知りたい食の安全 有路昌彦

生活の中で、「抗菌」の文字をしばしば見かけます。まな板、三角コーナー、食器の洗い桶などのキッチン用品はもちろん、最近はTシャツなどでも「抗菌シャツ」なるものが存在します。果たして、この抗菌グッズたちに効果はあるのでしょうか。

抗菌処理には、大きく2つの方法があります。プラスティックの場合は素材に抗菌剤を練り込んでいるタイプが多く、抗菌シャツのような繊維には抗菌剤を噴霧しているタイプです。抗菌剤を用いているので、抗菌効果はあります。特に買ってすぐの時には、抗菌処理をしているかどうかで劇的な差が出ます。

シャツは洗うと効果が消える

しかし抗菌グッズにも落とし穴があります。まず噴霧しているタイプは、何度も洗っていると薬剤が落ちていって、やがて効果は消えます。汗臭くなるのが嫌で、私も抗菌シャツを着ることがありますが、商品の効果が落ちる時期ははっきりとわかります。

シャツの場合は汗臭さが気になる程度なので、多くの人がそれほど過信することはないでしょう。

一方、素材に練り込むタイプは抗菌効果の寿命が長いようです。しかし、いくら抗菌効果があるからと言って、「洗わないでいい」わけではありません。

抗菌仕様でもこまめに洗うこと

私も学生時代、抗菌仕様のプラスティック製三角コーナーを使っていました。しかし、いつの間にやら、何やら怪しいカビというか、なんだかドロドロしたゲル状の菌とかバクテリアで構成されるコロニーができ上がっていたような記憶があります。

お風呂も同じ。お風呂のスノコが抗菌プラスティック製だったのですが、「カビとかそんなもんはできんやろう」とか適当に思っていました。コバエが出てきたので、どこから来た?っと思って、スノコをひっくり返してみると、その怪しいゲル状の「何か」から大量にコバエが発生していました。思わず「なんじゃ」と叫んでしまったのを記憶しています。汚い話ですみません。

このようによくあるミスは、洗わずにほったらかしにしていると、油系や石けん(の使った後の再度固まったもの=油脂)の汚れが皮膜のようにくっついていき、その上に菌が繁殖するパターンです。

抗菌グッズは、直接触れる部分にしか効果がないと理解しておくことが必要で、特に油系の被膜は抗菌効果を減らします。つまり、抗菌仕様であろうとなかろうと、こまめに洗うことが大切です。

お弁当の抗菌フィルムは良アイデア

お弁当箱で食品の上に乗せる、抗菌フィルムも一般的になりつつあります。あれは、なかなかのアイデア商品です。わさびの抗菌成分を利用しているのですが、わさびはツーンと鼻を刺激することからもわかるように、本来、揮発性。何かにしみこませてもすぐに揮発し、なかなか使えませんでした。

積水化成品工業は、抗菌成分をフィルムシートに閉じ込めて、徐々に揮発させること技術を開発したのです。抗菌成分を揮発させることで、お弁当箱内部の食品の表面で菌が繁殖するのを防ぐわけです。わさびの抗菌成分をフィルムに閉じ込めて、少しずつ揮発させるという発想が、とっても日本人らしくて画期的だと思います。

このように、抗菌グッズといってもさまざま。どのタイプかを知ることで、うまく使いこなせるのではないでしょうか。

有路昌彦
近畿大学農学部准教授。京都大学農学部卒業。同大学院農学研究科博士課程修了(京都大学博士:生物資源経済学)。UFJ総合研究所、民間企業役員などを経て現職。(株)自然産業研究所取締役を兼務。水産業などの食品産業が、グローバル化の中で持続可能になる方法を、経済学と経営学の手法を用いて研究。経営再生や事業化支援を実践している。著書論文多数。近著に『無添加はかえって危ない』(日経BP社)、『水産業者のための会計・経営技術』(緑書房)など。
[ecomomサイト2013年6月18日付記事を基に再構成]
[参考] 家族と自然にやさしい暮らしがテーマの季刊誌『ecomom(エコマム)』。2013年秋号では、「魚をもっとおいしく食べよう!」「シェアする乗り物ライフ」「パーム油の産地ボルネオを訪ねて」などを特集。公式サイトで登録すると、無料で雑誌が届く。

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連キーワード

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン