2019年3月23日(土)

電力の80%を再生可能エネルギーに ドイツの挑戦、研究現場を訪ねる
編集委員 滝順一

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2010/12/1付
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ドイツ連邦政府環境・自然保護・原子力安全省による

ドイツ連邦政府環境・自然保護・原子力安全省による

ドイツのメルケル首相は今年9月に「2050年までに電力の80%を再生可能エネルギーで賄う」とする新エネルギー政策を発表した。ドイツは太陽光や風力などの再生可能エネルギーの積極的な導入で世界をリードしてきたが、地球温暖化対策とグリーン産業の成長を狙い、もう一段強くアクセルを踏み込んだ。政策の実現にはあらゆるエネルギー技術を総動員する必要がある。ドイツ国内の研究現場を訪ねて話を聞いた。

■地熱利用の利点と課題

ドイツ国内に16の研究機関を抱えるヘルムホルツ協会は、ベルリン郊外で地下4000メートルの井戸を掘り地熱利用の実証実験に取り組んでいる。地熱資源に恵まれているとはいえないドイツだが、ヒートポンプ技術の応用で発電と熱供給を目指す。同協会地熱研究センターのエルンスト・ヒューンゲス博士は地熱利用の潜在力についてこう語った。

ドイツ連邦政府環境・自然保護・原子力安全省による

ドイツ連邦政府環境・自然保護・原子力安全省による

「ドイツ政府は再生可能エネルギーを大きく伸ばす将来像を示しているが、地熱が占める割合は大きい。地熱で約1000億キロワット時の電力を賄うことになっている。政府が提案するエネルギーミックス(電源の組み合わせ)を50年に実現するなら、今から地熱の開発を進める必要がある」

「ここでは地熱供給の総合的なシステムの実証を目指している。地下4000メートルにまで掘った生産井戸からセ氏150度ほどの高温地下水を取り出し熱交換器によって高温の水蒸気をつくり出す。取り出した地下水は注入井戸から地下に戻す。サステナブル(持続可能)なシステムを目指している」

地熱利用のため掘削した井戸の説明をするヒューンゲス博士

地熱利用のため掘削した井戸の説明をするヒューンゲス博士

「世界の地熱発電所は、日本やインドネシアなどプレート(岩板)境界の火山地帯に多く存在し、1100万キロワットほどの発電能力がある。欧州北部はプレート境界ではなく、高温の地下水や蒸気はないが地下深くからの熱の流れはどこにでもある。地下水は決して高温とは言えないが、ヒートポンプ技術を応用して3万キロワット相当の熱エネルギーを生み出せる。この施設は研究用だが、実用規模になれば、発電にも使えるし、暖房用温水や冷房用冷水もつくれ、ベルリンに供給できる。ベルリンには1000万キロワット相当のエネルギー需要があると聞いている」

「地熱の利点は二酸化炭素をほとんど排出しないことだ。昼夜や季節による発電の変動もない。地熱はつくったエネルギーをその周辺で使うローカルなエネルギー源であり、遠くに運ばない方が賢い。運転を開始すれば、非常に安価なエネルギー源になるが、地熱を取り出す井戸を掘るのにはコストがかかる。ここの井戸は天然ガス生産井戸としてかつて使われていたものを転用しているが、新規に掘るとなると2000万~3000万ドル(16億~24億円)の費用はかかる」

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