初のネット選挙が盛り上がらなかったワケ
ブロガー 藤代 裕之

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2013/7/25 7:00
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ネット選挙が解禁されれば若者が投票に行き、ソーシャルメディア上では有権者を巻き込んだ政策論争が展開される…。そんな事前の期待は裏切られた。初のネット選挙が盛り上がらなかったのには理由がある。

■予想できた低調さ

選挙運動の風景は大きく変化した。政党や候補者は、フェイスブックやツイッターを利用し、情報を発信してネット選挙に対応した。が、投票率は52.61%で、戦後3番目の低さにとどまった。橋元良明東京大学教授らの調査によると、ネットを通じて候補者や政党が発信した情報を見たと回答した人は18%。候補者や政党に対するデマやひぼう中傷を見た人は6%とこちらも低い。ただ、これはある程度予想できたことだ。

例えば、若者の投票率の向上。若者に向けた公約を訴えたいためにソーシャルメディアを使うというなら分かるが、従来の主張を繰り返しても反応が鈍いのは当然だ。情報過多の時代に伝送路だけを新しくしても伝わるわけではない。

もし、政党や候補者と利害関係がない、いわゆる浮動票の有権者が投票時に情報を参考にするとしたら、大きな争点があったり、選挙区の候補者が対立的だったりして、盛り上がっているときだ。

ネット選挙では、アメリカ大統領選挙の事例が紹介されるが、選挙資金や運動に関わることで、自分が応援する候補が競い合い予備選挙をくぐり抜けていく様子は甲子園のように勝ち残っていくドラマがある。つまり選挙戦そのものが盛り上がりを誘発する構造を持っているのだ。一方、参院選は政権交代に直結しない上、選挙前から自民優位の情報がメディアで報じられており、盛り上がる要素が少なかった。

■争点を消した自民党の巧みさ

安倍首相はソーシャルメディアでの発言を抑えて選挙戦を有利に運んだ

安倍首相はソーシャルメディアでの発言を抑えて選挙戦を有利に運んだ

さらに自民党は「原発」や「憲法」といった微妙な問題を避け、争点を消しアベノミクスの信任投票に持っていくことに成功した。

選挙が優勢で、かつ微妙な問題を争点化したくない場合は、積極的に政策の情報を発信しようというインセンティブは働かない。ソーシャルメディアで発言することで「舌戦」から「炎上」につながることで争点化する危険性があるからだ。

安倍晋三首相がフェイスブックで行った、田中均・元外務審議官への批判は、民主党の細野豪志幹事長との非難合戦になりかけた、それ以降は争点になるような書き込みは避けている。

民主党は明確な対立軸を打ち出すことができなかった。それどころか、開設したばかりの海江田万里代表のフェイスブックページに批判的なコメントが書き込まれるなどソーシャルメディアを起点とした与党攻撃どころではなかった。

ソーシャルメディア利用の経験、どのように使うかの巧みさでも民主党は自民党に負けた。

■明らかになった「すれ違い」

候補者による訴えと有権者の関心がすれ違っていることも盛り上がらない理由のひとつだ。

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