ネットでいまだに「慶応SFC出身者」が活躍している理由
ブロガー 藤代 裕之

(1/2ページ)
2012/4/26 7:00
保存
共有
印刷
その他

「ここもSFC出身者が多くないですか」――。ソーシャルメディアにかかわっていると、時々そんな声を耳にする。SFCとは慶応義塾大学の湘南藤沢キャンパスのことで、総合政策学部や環境情報学部などがある。1990年に開設され、いち早く授業にインターネットを導入したことやAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)など大学改革の成功事例として取り上げられることも多い。インターネット時代の台頭とともに、その存在や出身者が注目されてきたが、ソーシャルメディアの時代でもいまだに多くの出身者が活躍している。個人のパワーを生かすSFCの人材育成手法に、企業が学ぶべき点は少なくないはずだ。

■「先頭を走るからこそ前例がない」校風

慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(同サイトより)

慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(同サイトより)

グリーの取締役で国際事業を手がける青柳直樹氏、復興支援サイト「PRAY FOR JAPAN」や学生向けアプリ「すごい時間割」を開発している鶴田浩之氏、社会起業家で病児保育・病後児保育のNPO(特定非営利法人)、フローレンスを運営する駒崎弘樹氏などがSFC出身者である。このほか、独自の教育プログラムを実践するNPOのカタリバの今村久美氏や、新しい若者論「絶望の国の幸福な若者たち」で注目を集めた社会学者の古市憲寿氏、ソーシャルメディアのデータ分析サービス「Social Insight」(ソーシャル・インサイト)の開発にかかわった閑歳孝子氏もSFC出身だ。

実際に何人がソーシャルメディアに携わっているかといった具体的なデータは見つけられなかったが、SFC出身者個人が持つソーシャルメディアへの発信力が高いため、「SFC出身者」という点が目立つのかもしれない。「フェイスブック」を利用し、なぜソーシャルメディアでSFC出身者が注目されるのかを問いかけてみた。

すると、「ルールは守るものではなく作るものだし、先例がないのは当たり前で、なぜなら自分達が先頭を走っているから、という考えが校風にあるから」という声があった。また、「授業中に単なる話し合いではなく、ディスカッションをする機会が多く、人に意見を言うことに慣れているといった授業内容がソーシャルメディアの中でも目立つのでは」という意見もあった。

一方で、「組織化された企業の中では異端児扱いされるのではないか」という声もあった。SFC出身者の評価について、キャンパス開設20年を検証した書籍「異端の系譜-慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス 」(中公新書ラクレ)で著者の中西茂氏は、「ジェットコースターのように変わる評価」として、コンピューター利用や外国語教育の先進性の評価から、学生が使いにくい、すぐ辞めるという企業社会での不評があったと紹介している。

■入学生の4分の1は「尖った人材」

青森県三沢市で2月に行われ、政財界など著名人が集まった「G1サミット2012」で、総合政策学部長の国領二郎教授と茂木健一郎氏の対談があった。そこで入試制度改革がテーマになった際に「SFC卒業生はすぐ辞めるというのは神話」としつつ、尖った学生をいかに採用するのが重要かについて述べていた。

また、ソーシャルメディアとSFCの関係についても国領教授は、「インターネットにより、個々の人が情報によってエンパワーされていく、自律的なイニシアティブが横につながり合っていくという社会になっていく、という大きな時代感や思想的なものがある。こうした動きが、ソーシャルメディアやNPOと親和性が高い」と言う。そうした部分に、SFCの特性も当てはまるのかもしれない。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]