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体重が急に増える40代は男性ホルモンの危機

日経ヘルス・フォーメン

NIKKEI STYLE

 若いころほど食べてはいない。なのに太りやすくなった――。実は男性ホルモンの減少や運動不足が大きくかかわっている。体を動かし、筋肉をつけて男性ホルモンを増やすことが必要だ。

20代のころに比べたら、食事をセーブしているという人も多いだろう。そもそも、どうして太りやすくなったのだろうか?

「男性ホルモンの量も大きくかかわっている」というのは、帝京大学医学部泌尿器学講座の堀江重郎主任教授。

男性ホルモンは、筋肉の量や代謝を保つ働きをする。だが、何もしないでいると40代ごろから分泌される量が減る。それにつれて、内臓脂肪も増えてくるのだ(下のグラフ)。

しかも、もっと深刻な現実がある。活性型の男性ホルモンの量を唾液で検出すると、40~50代の男性は、20~30代はもちろん、60代よりも低かったのだ。

「おそらく、仕事のストレスのせい。男性ホルモンは、競争や、競争後の達成感で増えるという特徴がある。仕事がうまくいっていると増えるが、結果が出ないと抑制される。『今日も楽しかった』と、夜に思えるならOKだが、『ああこれじゃ認められない』と感じるなら危ない」と堀江主任教授。

特に、「朝の勃起がいつもなくなっているようなら、ホルモンも低下した証拠。男性ホルモンが担う判断力や決断力も低下する可能性がある。しかも疲れやすくなる」(堀江主任教授)。

だが、こんな男性ホルモンの低下を取り返す対策が見つかっている。それは体を動かすこと。筋肉を使うと、ホルモンの前駆体が男性ホルモンに変わり、その量が増えるのだ。

お腹を凹ませられないと腰痛発生、呼吸も浅くなる

お腹が太る原因は、さらにもう一つある。

それは、現代特有のデスクワークによる運動不足だ。広島国際大学保健医療学部の蒲田和芳准教授は、「今のオフィスで働く人は男女を問わず、普段、座り続けて仕事をしているために、胸、お腹、脚の付け根までが、縮んで弛緩している。これにより、お腹周囲が休みがちになり、お腹を引き締められない。また、呼吸も浅くなり代謝も悪くなる」と説明する。

お腹周囲の筋肉が使われないので、内臓脂肪たっぷりのお腹は無防備に出てしまう。このとき腰椎のわん曲が強くなるために、腰痛が起こる人もいるほどだ。

対策としては、「体の前側を伸ばす、裏側を鍛える、そして下腹を締める習慣をつけること」と蒲田准教授は話す。

運動は、脂肪がつきやすい体質の改善にも効果的だ。

「筋肉を収縮させる運動をすると、その時点だけでなく、その後も筋肉にはブドウ糖が取り込まれやすくなる」というのは、首都大学東京大学院の藤井宣晴教授。太りやすい体質=インスリン抵抗性をリセットできるのだ。そのためには、「ドキドキと心拍を感じるレベルでの運動を生活に取り入れることが必須」だという。

ここまでで、我々のお腹の中の代謝や、筋肉の状態について、もうおわかりいただけただろう。「食べ方」「お腹のコア力」「代謝力」の3方向から、腹やせをスタートしよう。

(日経ヘルス編集長 藤井省吾)

[日経ヘルス・フォーメン2011夏号の記事を基に再構成]

日経ヘルス・フォーメン2011夏では、特集『日本男子の腹やせ!』で腹が出るメカニズムと腹やせのための3大ルールを紹介

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