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これからの時代は個人力で勝負 ずっと働ける力とは

日経ウーマンオンライン
終身雇用制度が崩れ始め、誰もが「自分らしい働き方」を模索する時代がやってきました。私たちの働き方はこれからどのように変わっていくのでしょうか? リクルートキャリア特別研究員の海老原嗣生さんに働き方の未来予測について、話をお聞きしました。

10年後の未来――私は「新中流階級」という年収600万円台の層が生き方の一つとして生まれていると思います。「自由なヒラ社員」などと表現してもいいかもしれません。「自由なヒラ」でさびない生き方ができている――そんな生き方・働き方が人々の選択肢の一つになると考えます。

現在の日本の大企業では正社員として働く以上、長時間労働は避けられない状況になっています。そのいわば「代償」として、課長職以上まで出世すると1000万円台の年収が約束されているわけです。ところが最近、一生ヒラ社員の人が増えてきています。大卒50歳~54歳の男性社員で、部長や課長などの管理職についていない人は次第に増え、係長職などの役職も何もない「生涯ヒラ社員」の人は3割に迫ることが賃金構造基本統計調査のN数から推定できます。

日本の雇用慣行では総合職の人たちの尻を叩き続けます。その結果として、係長くらいで昇進が止まったとしても大手なら800万円以上の年収は保証してもらえますが、半面、こうした忙しい働き方が主流だと、育児や介護のためにキャリアをあきらめざるをえない人々が出てきてしまいます。

正社員に対して、ある程度の難易度の業務と長時間労働を強いる代わりにポストや高年収を約束する従来のモデルは、日本経済の成長が停滞する現在、無理がきていると言わざるをえません。

その中で、600万円台の年収で、さほど業務の難易度も上がらず、長時間労働を強いられることもない「新中流階級=一生ヒラ社員」が今後増えていくのではないかと予測できるのです。

600万円台くらいまでの年収であれば、転職市場でも仕事を見つけやすく、流動性が高まります。ビジネスの最前線で実務をやっている人材ですから、どこの会社でも通用するのです。例えば、人材紹介会社で営業をやっていた人が、生保業界や住宅業界で営業として活躍することも可能です。現場で生産技術、品質管理、詳細設計や営業、事務、積算そのほかもろもろの実務をやっていた人たちは即戦力として非常に価値を持ちます。「どこでも通用するハイパーなスキルを持たないといけない」なんてことはありません。

そもそもハイレベルな業務内容になればなるほどキャリアは閉じていくんです。例えば、銀行の業務内容でお話ししましょう。新入社員はまずは個人融資を経験します。その後、キャリアを積んでいくと大企業相手の資金繰りなどを担当するようになるわけです。前者の業務であれば保険業界や自動車業界でも営業職として通用するでしょう。商品知識は半年もあれば身につきますから。後者の業務内容になると、銀行以外ではなかなか汎用性がきかなくなります。

原子力発電所のプラント営業をやっていた商社マンよりも、小麦粉を外食チェーン店に卸していた人のほうが仕事はある。

個人力で勝負するミドルスペシャリストが増えるというのが、未来の働き方を読み解くキーワードの一つになるはずです。

この人に話を聞きました

海老原嗣生さん
リクルートキャリア特別研究員。大手メーカーを経てリクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。人事制度設計などに関わった後、リクルートワークス研究所へ出向し、「Works」編集長に。現在、(株)ニッチモ代表取締役。人事・経営誌「HRmics」編集長。主な著書に『雇用の常識 決着版「本当に見えるウソ」』『女子のキャリア』(いずれも筑摩書房)などがある。

(ライター 田中美和)

[nikkei WOMAN Online 2014年4月23日付記事を基に再構成]

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