2019年1月18日(金)

電力自由化がつまずいた理由 新電力、わずか「3.5%」

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2013/1/30 7:00
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経済産業省の電力システム改革専門委員会の議論が大詰めを迎えている。委員会が2012年7月にまとめた「基本方針」に基づいて、同12月までに経済産業省が提示した政策の具体案の検証作業が進んでいる(表1)。2013年1月の委員会では、発電部門から送配電部門を中立化する発送電分離を、送電部門を子会社化して電力会社から切り出す「法的分離」で実施することが大筋まとまった。

表1 電力システム改革案の骨子(表:『日経エコロジー』2012年9月号から)

表1 電力システム改革案の骨子(表:『日経エコロジー』2012年9月号から)

電力改革では発送電分離がとかく注目される。しかし、ビジネス目線で見たときに重要なのは電力会社(一般電気事業者)以外の企業にとっての事業機会の大きさや自由度だろう。

今回の電力改革では、家庭部門を含む全需要家に「選択の自由」を保障することを目指す。そのためには選択肢として、電力小売り事業者である新電力(特定規模電気事業者)の充実や電力サービスの多様化は欠かせない。発送電分離は電力会社と新電力の公平な競争を後押しする手法だが、問題は結果として本当に競争が促進されるかどうかにある。

というのは、既に家庭部門や小規模需要家を除いて、自由化は制度として実現している。だが、自由化されているはずの大口需要家向け市場で、十分に「選択の自由」があったとは言えない状態が続いてきたからだ。

■卸電力取引は市場全体の「0.6%」

2012年1月に東京電力が大口需要家向け電力料金の値上げを発表した際、低料金を武器にしていた新電力が注目を集め、東電から乗り換えようとした需要家が殺到した。だが、このとき乗り換えを実現できた需要家はごくわずかしかいない。新電力にとっては電力会社から顧客を奪う絶好のチャンスだったわけだが、新規顧客に供給するための電力を調達できなかったのだ。

現在の部分自由化は、2000年に契約電力が2000キロワット(kW)以上の大口需要家を対象として始まり、2005年には同50kW以上にまで広がった。電力会社は地域の枠が外れ、域外に対しても供給が可能になった。しかし、域外供給の実績はこれまで、九州電力が中国電力管内にある広島のスーパーマーケットと契約した件などごく限られる。事実上、自由化部門においても電力会社の地域独占は温存されたままになっている。

電力会社間の競争が促進されない分、新電力に市場活性化の役割を期待したくなるが、自由化部門における新電力のシェアは今も3.5%しかないのが実態だ。自由化に合わせて電力会社や卸電力事業者、新電力などが電力を売買する卸電力取引所が立ち上がっている。しかし、市場取引量は小売り市場全体の0.6%に過ぎない。これは新電力にとって、顧客の要望や変動する電力需要に応じて柔軟に電力を調達する手段が限られていることを意味している。

制度上は自由化されていても、既存の電力会社が圧倒的な市場支配力を握り続けている限り、競争的な市場は成立しにくい。これが部分自由化の教訓である。

NTTファシリティーズや東京ガスなどが出資する新電力最大手、エネット(東京・港区)の池辺裕昭社長は、これまで政府の審議会などで「電力会社に取引所での売電・調達を30%程度以上義務づけるべきだ」と主張し続けてきた。新電力は自前の発電所のほか外部の発電事業者や取引所から電力を調達し、顧客に電力を販売する。池辺社長の主張は、電力会社が保有する優越的な供給力を市場取引を通して新電力などに配分しなければ電力市場は活性化しないというものだ。

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