2019年9月19日(木)

「仮想物体をつかんで回す」 東大と米社が共同開発

2014/5/23付
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日経エレクトロニクス

仮想物体を手でつかむようにして操作できるシステムを共同開発した

仮想物体を手でつかむようにして操作できるシステムを共同開発した

東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授の石川正俊氏らの研究グループと米zSpaceは、3次元(3D)ディスプレーに表示した仮想物体を手でつかむようにして操作できるシステムを共同開発した。石川渡辺研究室が開発したジェスチャー認識システムを、zSpaceのインタラクティブな立体視システムの入力として利用できるようにした。

ユーザーの手の動きを検出して3D表示に反映するまでの遅延時間が、最小27msと極めて短いのが特徴。「人が認識できない水準の遅延であり、手の動きと仮想物体の動きが一体のものであるかのように感じられる」(東京大学の石川氏)。

zSpaceの立体視システムは、偏光方式の23.6型3Dディスプレーと、3D映像を描画するコンピューターで構成する。3Dディスプレーのきょう体には、偏光メガネやスタイラスの空間上の位置および向きを検出するための複数のカメラも備える。

偏光メガネをかけたユーザーの視点に追従しながら仮想的な3D空間を描画し、ユーザーはスタイラスによって3D空間内の物体を操作できる。「2年前に発売し、教育やトレーニング、医療などの市場に提供してきた」(zSpace Chief Technology OfficerのDavid Chavez氏)。1920×1080画素の映像を、右目用と左目用にそれぞれ毎秒60フレームで表示している。

■医療や教育などでの利用を想定

医療や教育、仮想試作などの用途を想定する

医療や教育、仮想試作などの用途を想定する

石川渡辺研究室が開発したジェスチャー認識技術は、手の形と位置を毎秒500回認識するスピードに特徴がある。500フレーム/秒で撮影できる高速カメラを2台設置し、その情報を基に手の形と位置を認識する。「カメラの映像の中で、手が写っている領域に限定して指先位置を計算する。必要な処理に絞ることで毎秒500回という高速な認識を実現した」(東大の石川氏)。

外光の影響を抑えるために、赤外LED(発光ダイオード)を並べた発光部をディスプレーの近くに設置し、カメラは赤外光を500フレーム/秒で撮影している。今回のシステムでは、(1)指を1本立てた状態、(2)手を広げた状態、(3)手を握った状態、の三つを識別するとともに、(1)での指先の位置などを計算している。

「石川研究室が動画共有サイトにアップロードした高速トラッキングのデモ映像がキッカケだった。知人から『面白い動画がある』と教えてもらった。まるで魔法のような技術だと感じ、石川氏にコンタクトした。それがこの共同開発に至った」(zSpaceのChavez氏)。医療や工場などの現場や仮想試作など、非接触での操作や手で持って動かすような操作に対する要求が強い市場を想定する。

石川氏によると、遅延時間である27msの内訳は次の通り。カメラによる撮影が約2ms、手の形や位置を認識してzSpaceのシステムに入力するまでが約5ms、描画してディスプレーに表示させるまでが約20msである。ジェスチャー情報を入力するまでの時間が合計で約7msと、1フレームの期間(16.7ms)より短い。このため、手の動きに応じて映像を毎フレーム更新可能であり、ユーザーはほとんど遅延を感じない。実際に仮想空間内の物体を手で持って動かしているかのような操作感を与えられる。

(日経エレクトロニクス 竹居智久)

[日経テクノロジーオンライン 2014年5月22日掲載]

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