専門家を総動員できなかった福島原発事故 有馬朗人・元文相に聞く
編集委員 滝 順一

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2013/5/1 7:00
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産業界や学界の有志が組織するエネルギー・原子力政策懇談会(会長は有馬朗人・元文相)は先ごろ安倍晋三首相と茂木敏光経済産業相に緊急提言を手渡した。政府に対し「原子力から逃げず、正面から向き合え」と原子力政策の再構築を求めた。有馬氏に提言を出した狙いやエネルギー政策への考えなどを聞いた。

有馬朗人・元文相(現・武蔵学園長)

――提言は(1)福島第1原子力発電所の廃炉と被災コミュニティーの復興に全力を尽くせ(2)国際スタンダードにのっとったプロフェッショナルによる安全規制の確立を(3)安全を大前提にしたエネルギーの総合最適政策を確立すべき――の3本柱からなっています。

「エネルギー・原子力政策を議論する大前提にまず日本のエネルギー自給率(約4%)の低さがある。日本は化石燃料資源の多くを中東に依存し、またこのところはロシアから輸入する動きが活発だ。国の安全保障を考えると原子力を含め多様なエネルギーの活用が大事だ。また二酸化炭素(CO2)による地球温暖化の進行を抑えるにも化石燃料への依存拡大は好ましくない」

「原子力の利用においては安全確保が最優先だ。有志で原子力政策の議論を始めたのは東日本大震災の前のことで、その時は中越沖地震の教訓などから日本の原発の耐震性は高いと考えていた。しかし大津波は想定の外だった。1000~5000年に一度起きる自然災害を想定するなら火山の爆発への対処も考えねばならない。耐震も原子炉建屋だけでなく送電塔をはじめ周辺施設まで配慮しなくてはならない」

「日本の再生可能エネルギーは総発電量の約10%、水力を除くと2%程度にすぎない。もっと伸ばさなくてはならない。ドイツの再生エネ発電量は約1000億キロワット時だが、これは日本の総発電量(約1兆キロワット時)の1割弱だ。私個人はドイツの2倍程度を目指す必要があると考えている。ドイツの先行例をみると、風力は気象条件による供給の変動が大きいので、その点を気をつけて導入を進めなければならないし、太陽電池の普及に伴い国産製品が選ばれやすい環境づくりに工夫していくことも考えなくてはいけない」

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