2018年12月13日(木)

石炭ガス化発電、福島の復興に活用 東大特任教授の金子氏に聞く
編集委員 滝 順一

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2013/1/23 7:00
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石炭をガス化してきれいに燃やす最新鋭の発電技術、石炭ガス化複合発電(IGCC)。東京大学生産技術研究所の金子祥三特任教授は福島県などの沿岸部(浜通り)に4カ所、総出力500万キロワットのIGCCを建設する「浜通りクリーンコールハイウエー構想」を提唱する。「脱原発」を宣言した福島県に新たな雇用の場を創出するとともに日本全体のエネルギー安全保障にもつながると主張する。

金子祥三・東京大学生産技術研究所特任教授

金子祥三・東京大学生産技術研究所特任教授

――IGCCは石炭を高温でガス化、そのガスを燃やして発電すると同時に排熱も回収し発電する複合発電システムですね。これを浜通りに建てる構想の狙いは。

「3点ある。まず日本はいま天然ガス輸入の拡大を急いでいるが、目の色を変えてお願いする限り、所詮は輸出国と対等の交渉にはならない。米国からシェールガスを買うとか原油連動の値決めを見直すとか、いろいろと努力は必要だが、最後は売り手と買い手の関係で決まる。天然ガスしかないと足元を見られたら不利なことは明らか。石炭というオプションを持つことが必要だ」

「石炭火力は二酸化炭素(CO2)排出が多いのが課題だが、IGCCは既存の石炭火力より15~20%排出を少なくでき石油火力並みに抑えられる。地球環境を考えればIGCCが望ましい。ただ新しい技術なので導入に踏み切るのは決断だ。不幸にして福島原発事故を経験した日本にとって、今は『これまで通りでいいじゃないか』という発想を断ち切って、挑戦するよい機会だ。災い転じて福となす発想で臨みたい」

「3番目は浜通りにインフラがあることだ。原発の電気を運んでいた500万キロワットの送電線があいている。また浜通りにはすでに常磐共同火力勿来発電所(福島県いわき市)、東京電力広野火力(福島県広野町)、東北電力原町火力(福島県原町)、相馬共同火力新地発電所(福島県新地町)の4つの石炭火力があり、石炭の荷揚げ施設や貯炭場を備えている。出力50万キロワットのIGCCを2基組み合わせた100万キロワットの発電所を勿来、広野、原町にひとつずつ、相馬には2つ建設できる。ほかにつくるより適している」

――50万キロワット級のIGCCは世界でもまだ例がありませんね。

「現在、25万キロワットのIGCCの実証機が常磐共同火力勿来発電所の敷地内にあり、4年間の実証試験を終えて、4月から商業運転に入る。米国では30万キロワット級が稼働しており50万キロワットは世界トップになる。IGCCの中核であるガス化炉(圧力容器)の直径は25万キロワットで5.3メートル。出力が2倍になっても6.3メートルで、基本構造は大きく変わらない。技術的にはすぐにでもできる」

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