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夫婦で相場を読んで高リターン

続・個人投資家奮戦記(3)

 「目指せ! 脱日本株依存」をテーマにお届けしている本連載「続・個人投資家奮戦記」。個人投資家が海外資産へ投資するにあたり、頭を悩ませるのが全体相場の読み方だ。多くの投資家が株式などのリスク資産を積極運用する「リスクオン」の状況なのか、それとも逆の「リスクオフ」なのか、見極めは難しい。今回(本連載の第3回)は、金融機関出身の妻が積極的に市場情報を集め、話し合いながら投資方針を決めている夫婦に焦点を当てる。

武井亘さん(仮名、38)は金融機関に勤める会社員だ。外貨運用の「戦績」はうらやましいほどだ。2010年以降、全資産額はおおむね年率20%増で伸びているという。高いリターンの源泉は、外債と外国株、海外REIT(不動産投資信託)を巧みに入れ替える戦略にある。

金融機関でアナリスト資格を取得した妻と一緒に、米雇用統計などの経済指標を日々チェックする。

武井さんの運用方針は「リスクオン」と「リスクオフ」で明確に切り替わる

「日本、米国、欧州の経済指標は基本的にすべて見る」と武井さん。週末には、翌週に発表予定の米雇用統計など主要経済指標と発表時刻、予想値をすべて表計算ソフトのExcel上に記録。発表後に実際の値と市場の反応を記入していく。株価指標や為替動向は日米欧、新興国のものまで短期、中長期のチャートを眺める。テレビの経済番組や専門のブログツイッターなどでの情報収集も怠らない。

こうした積み重ねによって、市場がリスクをとる方向に傾いているか(リスクオン)、そうでないか(リスクオフ)などを夫婦で話し合う。2人で議論するうちに考えの偏りが修正され、冷静な判断が下せるという。

例えば、日米が金融緩和に踏み切って日経平均株価のみならず各国株式相場が上昇した2012年1~3月。2人で話し合って「リスクオンモード」と判断し、ブラジル株やロシア株、海外REITに為替ヘッジをかけずに投資した。このため「株価上昇+円安効果で20~30%程度の高リターンが得られました」。そこですかさず利益を確定した。

欧州債務問題が市場を覆い、日経平均も下げた4月以降は「リスクオフ」に転じたと判断。「円高も進行したため『為替ヘッジあり』の新興国投信に資金を投入。新興国分の高金利を『為替ヘッジなし』で取る方針から切り替えました」(武井さん)。

武井さんはここに注目している

基本的には円高進行時は投信の「為替ヘッジあり」コースを選択して円高リスクを回避。円安進行時は「為替ヘッジなし」コースを選んで為替差益を積極的に狙っていく。為替ヘッジのコストは、これまで海外と日本の利回り格差が開いていたので高くついていたが、最近は各国で利下げも相次ぎ、以前ほどのコスト負担はなくて済む。

世界市場には相変わらず不透明感が漂っている。9月に入って、ドイツで欧州安定メカニズム(ESM)への合憲判断があり、米国で量的緩和第3弾(QE3)が実施されるなど、危機回避に向けたハードルをいくつか越えたものの、なお予断を許さない状況だ。武井さんの投資も、基本的にリスクオフモードとなりそうだという。世界的に利下げ懸念はなお残るので、短期の新興国外債で運用益を確保する構えだ。ただ、市場動向によってはリスクオンに転じる可能性もあり、日々の指標チェックで丹念にその時機をうかがっている。

武井さんに投資の目的を聞くと「お金とうまく付き合うこと」との答えが返ってきた。豊かな老後に向けて必要な資金と、最低限度の子どもへの資金が残せれば、あとは寄付したいという。

(日経マネー 南毅)

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