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「アップル後」の世界 見えてきた次の盟主

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「アップル後」のIT(情報技術)の世界をけん引するのは、果たして誰なのか――。アップルが失速し、こんな疑問が広がっている。個性的な経営者が次々と表舞台を去り、新たな勢力図は見えにくい。だが、圧倒的な存在感を誇ったスティーブ・ジョブズの後継者をいま探せば、「彼」に行き着く。

クラウド値下げ30回

6月5日、東京・港区にあるホテルの宴会場。りんごマークのパソコンが置かれたステージに、男が歩み出た。黒っぽいタートルシャツ、禿げ上がった頭。顔の半分を白髪の交じったひげが覆っている。クラウドコンピューティングの最新技術に関するイベントの基調講演で、2000人におよぶ聴衆に語りかけた。

IT好きなら、アップル前最高経営責任者(CEO)、ジョブズの姿を思い浮かべるに違いないが、壇上の男は2年前に世を去ったカリスマではない。熱弁をふるうのはアマゾン・ドット・コムの最高技術責任者(CTO)、ヴァーナー・ボーガス。インターネット時代のIT活用を世界に伝道するキーパーソンだ。

1時間半をかけたスピーチのクライマックスに、ボーガスは1枚のスライドをスクリーンに映し出し、「真の主役」の言葉を紹介した。「創造性を解き放ち、夢を追い求める力を人に与えるものこそが、最も革命的で変革力のある発明なのです」。アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾスが株主にあてて書いた手紙の一節だった。

ベゾスにとって、クラウドは「革命的で変革力のある発明」そのものだ。2006年の開始以降、値下げ回数は30回を超す。朝刊1000日分に相当する1ギガバイトのデータを1カ月1円で預かるなど、「安いけれど高性能」を売りに、いまや190カ国に数十万の顧客企業・団体を持つ。IBMやマイクロソフトなど巨大IT企業の向こうを張り、クラウドという成長市場の主導権を握った。

そもそも、アマゾンは1995年、書籍を手始めにネット通販に参入、その後、豊富な品ぞろえとスピード配送などで新しい買い物スタイルを世の中に示してきた。米国では、ガリバー流通業のウォルマート・ストアーズさえネット対応を真剣に考えざるを得なくなった。日本では、アマゾンの「即日配送」に対抗するため、楽天が自前の物流網づくりを急いでいる。ネット小売りサービスの「スタンダード(標準)」は、アマゾンがつくり上げてしまっている。

ベストCEOの1位と2位

ネット小売りばかりか、クラウドでもルールメーカーとなった「アマゾン帝国」。ベゾスのリーダーシップは、ジョブズがおよそ10年持ち続けた盟主の座を射程に...

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