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震災実態調査 7割の企業が事業中断、9割に影響

BCPは役に立ったのか

日経パソコン誌は、2011年5月中旬から6月上旬にかけて、国内の企業7874社の情報システム担当者を対象に「企業の情報化実態と震災対応に関する調査」を実施した。この調査は、業界団体の電子情報技術産業協会(JEITA)の協力の下、パソコンや周辺機器、クラウドサービスなど情報化投資の計画、OSの利用・導入実態、セキュリティ対策状況などについてアンケート形式で尋ねたもの。「企業の情報化実態に関する調査」として毎年実施している調査の2011年度版である。

とりわけ2011年度は、3月11日に発生した東日本大震災を受け、単なる情報化の実態のみならず、企業が震災にどのように対応したのか、企業が策定している事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)は役に立ったのか、震災は情報化投資に影響を及ぼしているのか――などに重きを置いて、「企業の情報化実態と震災対応に関する調査」と銘打って実施している。

本記事では、Webで回答を寄せた462社のデータを速報値として集計し、震災の影響についてリポートする。

図1は、回答企業の業種と企業規模(従業員数)の内訳だ。従業員100人未満の企業から、1000人以上の企業まで、幅広く回答を得られている。

[注]調査票の送付先が宮城、岩手、福島の3県にある企業については、調査票の送付が難しいケースがあり、また復興活動の妨げとなることを避けるため、今回は調査対象から除外した。このため、最も甚大な被害を受けた前記3県の企業に関するデータは含まれない。しかしながら、本調査が毎年利用している送付先企業のリスト(7975社)の中で、前記3県に含まれる企業は101社と約1.3%にとどまる。さらに、3県以外に本社がある企業などが、上記3県に含まれるオフィスや支店の被災状況についても回答している場合があるため、調査としての有効性は確保しているものと考える。

9割近くの企業が震災の影響を受けた

最初に、回答企業の被災状況から見ていこう。図2は、東日本大震災における被災の状況や影響を聞いた結果だ。

オフィスが直接被災して事業を中断したという企業は30.3%、オフィスが直接被災して事業に影響が出た企業は31.4%に達した。前述の通り、この中には本社は東日本にないがオフィスや支店、事務所などが東日本にあり、そこが被災したというケースも含まれる。

直接被災していなくても、停電や節電の影響で事業の中断や影響があった企業は46.3%、鉄道などの交通網の麻痺(まひ)に影響を受けた企業は44.2%と、いずれも半数近くに上った。何の被害・影響も受けていないという企業は13.0%にすぎず、間接的な被害・影響にまで広げると、9割近くの企業が何らかの被害・影響を受けたということになる。

事業の中断を経験した企業は約7割

では、実際にどのくらいの期間、事業を中断することになったのだろうか。図3は、震災後に事業を中断した期間を質問した結果だ。事業の中断がなかったと回答した企業は26.6%。裏を返せば、約7割の企業が事業の中断を経験したことになる。

具体的には、回答企業の7.2%が震災当日の事業を中断、13.7%が3日以内の中断、20.5%が1週間以内の中断、20.5%が1カ月以内の中断を余儀なくされた。回答企業の中には、「中断はしていないが、品目によって生産縮小している」(製造業)、「事業の中断には至らなかったが、製品の入荷が一部できなかったり、遅れたりした」(商社/流通/小売業)という声もあった。

また「計画停電の影響による業務中断が何度かあった」(建設・不動産業)など、計画停電の影響で、事業を中断せざるを得ないケースも多かったとみられる。調査時点(5月中旬~6月上旬)でまだ中断している事業がある企業も、断続的な中断を含むと8.1%に上った。

安否確認はまず電話、メール利用も半数以上

こうした事業の中断を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を図るには、初動としてまず従業員の安否や所在の確認が必要となる。そこで、震災発生時にどのような手段で安否を確認しているのかを聞いた。図4がその結果だ。

やはり電話/携帯電話による通話が76.2%と7割を超えたが、回答企業の中には「電話回線が制限を受けたため、震災直後の通信手段としてはほぼ役に立たなかった」(サービス業)、「携帯電話は使えなくなったが、SkypeなどIP電話は利用できた」(建設・不動産業)という声もあった。

電子メールによる連絡は52.6%と半数を超え、メールが一般的な連絡手段として活用されていることがうかがえる。通話同様、「携帯電話から送信したメールは大幅に遅延して不便だった」(情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング業)といったコメントが寄せられたが、「携帯電話のメールが活用できなかった半面、パソコンを使ったWebメールは災害に強いことが分かった」(製造業)という意見もあり、メールの種類によって利便性に差が生じていたとみられる。

専用の安否確認システムを利用した企業は16.9%にとどまった。災害対策として、あらかじめシステムを導入し、備えていた企業はまだ少ないようだ。また、「安否確認システムは、負荷集中のため、想定したレスポンスが得られなかった」(製造業)など、普段から利用しないシステムのため戸惑いの声もあった。今後は、こうしたシステムの導入と、その確実な運用が課題となるだろう。

一方、3.2%の企業は「Facebook」や「Twitter」などのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を安否確認に利用したという。今回の震災では、SNSが情報の伝達に一役買った点が大いに注目されている。回答企業からは、「TwitterやFacebookなどは携帯電話やメールと違い、リアルタイムで情報が得られたため、役立った」(サービス業)、「交通機関の稼働状況を知るためにも、SNSが役立った」(金融/証券/保険業)などの声が寄せられ、「この震災をきっかけに、SNSで連絡を取り合う仕組みを考える必要がある」(製造業)と回答した企業もみられた。

(日経パソコン 増谷彩)

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