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富裕層増税、62%が「妥当」

クイックVote第116回解説 編集委員 大石格

富裕層を主なターゲットにした所得税や相続税の増税について電子版読者は62.9%が「妥当」との回答でした。財政再建に向けて増税が避けられないときに、いかに公正を担保するのか。大衆増税である消費税率引き上げを実施するからには、やはり富裕層の負担増はセットとの見方が多いようです。

自公政権と野党第1党の民主党は21日、所得税の最高税率を40%から45%へ、相続税は50%から55%へ引き上げることで合意しました。野党とも話がついたことで富裕層増税が実現することが確実になりました。

増税賛成の読者のコメントは大きく3つに大別されます。

1つは伝統的な「持てるものが負担すべきだ」という考え方です。

○カネ持ちはもっと負担すべきだ(59歳、男性)

○富裕層は一般人がいるから成り立っている(49歳、男性)

2番目は貧富の差が近年、拡大していることへの対応として累進強化が必要だというもの。

○格差是正のための所得再分配を考える時期に来ている(71歳、男性)

○持てるものと持たざるものの差が開きすぎだ(40歳、女性)

最後は望ましい政策ではないが、やむを得ないというものです。

○プラス5%ならば微々たるもの(71歳、男性)

○消費増税を実現するため(65歳、男性)

「持てる人」に属すると思われる「やむを得ないが、税の使途を改善してほしい」(73歳、男性)という書き込みもありました。

では妥当ではないという読者のコメントもみてみましょう。こちらはほぼ同じ内容でした。

○国際的に高い水準。資産流出が加速する(38歳、男性)

○個人のやる気をそぐ(54歳、男性)

○レーガン米大統領の富裕層減税は毀誉褒貶(ほうへん)があったが、カーター大統領時代のスタグフレーションからの脱却に成功した(58歳、男性)

回答者の内訳
回答総数 1298
男性92%
女性8%
20代6%
30代17%
40代25%
50代27%
60代19%
70代5%
80代以上1%

ちなみに具体的な数字を入れた回答が多数あり、増税の対象になりそうな読者がこの問題に高い関心を持っていることがうかがえます。

なお、富裕層減税に反対するように誘導する質問だったという書き込みもありました。小職は富裕層ではないので、個人的な利害はありません。設問時に書いたように重要なのは日本経済の全体としての発展です。人材流出で日本の国際競争力を損なっては困りますし、他方で必要な税収が確保できないのも困ります。

日本人は欧米に比べて地理的にも言語的にもよその国に簡単に移住できません。「週1日ぐらいは東京本社に顔を出したいし、オレは英語はしゃべれない」では欧米人がよくやるカリブ海の島々への移住に踏み切るのは難しいでしょう。日本政府は、他の主要国よりも富裕層増税に踏み込む余地が大きい恵まれた環境にあるともいえます。

それを踏まえ、どの程度のバランスが望ましいのか。景気が悪いと「カネ持ち妬ましい」という気分になりますが、もう少し冷静な議論が必要でしょう。

個人は移動しにくいが、企業は簡単に移動できる。こちらはすっかり常識になりました。2番目の課税強化すべき分野の質問にあえて法人税増税を入れておきましたが、選んだ読者は4.1%にとどまりました。

一番多かったのは酒・たばこ税の増税でした。酒税はともかく、たばこ税に関しては

○生活必需品ではない(58歳、男性)

○医療費の削減につながる(45歳、男性)

など積極増税論が目立ちました。

ガソリンへの課税強化は法人税増税よりさらに賛同が少なかったですが、「炭素税を設けるべきだ」という環境保護の観点からの意見があったことは紹介しておきます。

その他として書き込みがあったアイデアのうち主なものを以下に並べます。

○企業の内部留保への課税

○赤字法人への課税

○利子所得への総合課税

○宝石などぜいたく品への課税

○宗教法人への課税強化

○居住用を除く不動産にかかる固定資産税の課税強化

○海外旅行税

などでした。なかでも宗教法人への課税強化はたくさんの読者が指摘しました。

3問目。負担軽減してほしい分野ではやはり法人税が最も多く、今回の税制改正で半分だけ実現する自動車車体課税の軽減が次点でした。

こちらもその他に書き込まれたものを以下に並べます。

○ゴルフ税の廃止

○省エネ関連の税負担軽減

○少子化対策につながる税負担軽減

財政難のおりに減税は不要であり、質問そのものがナンセンスという回答もありました。

安倍内閣の支持率は69.6%でした。1週間前より2.6ポイントの上昇で、ここまでの政権運営は順調といえるでしょう。

安倍晋三首相の周辺は「7月の参院選までは安全運転でいく」と語っており、国論を二分しそうな憲法改正などにできるだけ言及しないようにしている効果が出ているようです。

この勢いを維持できるのか。次回はアルジェリアでのテロ事件や麻生太郎副総理の「さっさと死ねるように」発言がどう影響するのかが注目です。

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