2019年9月18日(水)

現代アートのルールとは 破壊の美術史

(1/3ページ)
2012/5/26 7:00
保存
共有
印刷
その他
 既存の美術の枠組みから大きく外れることで発展してきた「現代アート」。実際、様々な芸術作品が時代に驚きを与え、物議を醸してきた。そうした現代アートは規則とは無縁の世界のようにも見えるが、実は隠れたルールがあるという。日本経済新聞社が4月19日に開いた電子版セミナー「現代アートAtoZ」では、2人の講師が美術の歴史を振り返りながら、アートにおけるルールを説明した。当日の内容を再構成した。(生活情報部 柳下朋子)

NIKKEIアート・プロジェクト セミナー「現代アートAtoZ」の会場(4月19日、東京・大手町)

NIKKEIアート・プロジェクト セミナー「現代アートAtoZ」の会場(4月19日、東京・大手町)

講師は、現代アートの教育プログラムを運営する特定非営利活動法人(NPO法人)アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT/エイト)のロジャー・マクドナルドさん、小澤慶介さんの2人。作品画像を映し出しながら、2人でアートの歴史をたどった。

■古典的名画も前衛だった

マクドナルド この百年ほどの美術史を振り返ると、芸術の主題や表現はめまぐるしく変化してきました。今は美術館に恭しく飾られている古典的な名画も、発表当時は世の中に衝撃を与えた斬新な表現だったと思うと不思議ですね。

小澤 表現の自由という言葉がありますが、実はアートには隠されたルールがあります。芸術家たちは絶えず既存の価値観やルールを疑い、壊し、新たな歴史を生み出してきたのですね。

マクドナルド 私たちが今、体験している「アート」はルールのある1つのゲームだと考えてみてもいいかもしれない。

ユベール・ロベール「ルーヴルのグランド・ギャラリー展示計画」(1796年)

ユベール・ロベール「ルーヴルのグランド・ギャラリー展示計画」(1796年)

小澤 そうですね。そのルールの変化に注目して近現代美術史を振り返ってみましょう。

マクドナルド ユベール・ロベールの「ルーヴルのグランド・ギャラリー展示計画」(1796年)は、フランス革命によって、貴重な美術品が初めて公開された当時の様子を伝えています。元宮殿の長い廊下を利用して、絵画が整然と並べられているのがわかりますね。

小澤 それまでは無秩序に並べていた美術品を分類するという考えがこの時代に生まれたのですね。ルーヴル美術館は今日の美術館の原型であり、アートにおける展示のルールが誕生した場と言えます。

ギュスターヴ・クールベ「画家のアトリエ」(1855年)

ギュスターヴ・クールベ「画家のアトリエ」(1855年)

マクドナルド ギュスターヴ・クールベの大作「画家のアトリエ」(1855年)からは画家のチャレンジ精神が伝わってきます。画面中央でクールベ本人がカンバスに向かい、左にいる農民たちを描いている。背後を囲むのは画家の仲間たち。「私は仲間とともに人々の暮らしを良くするために描くのだ」と表明しています。

小澤 そうですね。労働者階級という当時の絵の主題にはなり得なかった人たちに焦点をあて、社会批判が感じられる。現代アートはクールベから始まったという研究者もいるほど、スキャンダラスな絵でした。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。