日本人起業のビッグデータ解析の米ベンチャー、国内で事業開始
米トレジャーデータは2013年5月20日、同社が開発したクラウド型データ分析基盤「Treasure Data Platform(トレジャーデータ・プラットフォーム)」について、日本市場での本格的な事業展開を開始すると発表した。2013年中に国内50社の新規ユーザー獲得を目指す。
同社は、CEOの芳川裕誠氏(写真1)と、ビッグデータ分野の著名エンジニアである太田一樹氏、古橋貞之氏の3人が、2011年12月に米国シリコンバレーで起業したベンチャー企業。米Yahoo!創業者のジェリー・ヤン氏、Ruby作者のまつもとゆきひろ氏らが出資している。2013年5月時点で、約30社の国内企業がTreasure Data Platformを導入している。


Treasure Data Platformは、センサーデータや購買取引データ、Web閲覧やアプリ利用に関するログデータなど、企業が保有する大容量の時系列データを、企業のオンプレミスシステムからクラウド上へ吸い上げ、データ処理・分析をするプラットフォームを提供する。データを収集してクラウドへアップロードするインポートツール「td-agent」と「Bulk Importer」、およびAmazon Web Servives(AWS)上に構築した列指向型データベース「Plazma」で構成される。Plazmaに蓄積したデータは、簡単なSQL言語を使って抽出・可視化できる仕組みだ。利用料金は月額3000ドルから。
製造業や小売り・流通業もターゲットに
同プラットフォームの国内導入企業には、レシピサイトを運営するクックパッド、広告事業を展開する博報堂DYメディアパートナーズなどがある。クックパッドは、同社のレシピサイト「クックパッド」でユーザーにレシピを推薦するために、ユーザーデータの収集・管理に同プラットフォームを利用している。また、博報堂DYメディアパートナーズでは、インターネット上の広告のアトリビューション分析などに同基盤を活用している。
現在、同プラットフォームの国内ユーザーは、Web/ソーシャルゲーム/広告業界が中心で、用途も推薦やプロモーションに偏っている。
日本法人のジェネラルマネージャーである堀内健后氏(写真2)は、今後の日本市場での事業戦略について、「Web・ゲーム・広告業に加えて、製造業および小売り・流通業を主要ターゲットとして、センサーデータを活用した製造ラインの故障検知、POS(販売時点情報管理)データ活用などのニーズを取り込んで行きたい」と説明した。
国内での販売は、日本法人と、販売代理店契約を締結している1stホールディングスおよびサイオステクノロジーを通じて行われる。
(ITpro 羽野三千世)
[ITpro 2013年5月21日掲載]
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